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日航再建 今度こそ甘えは許されない(10月30日付・読売社説)

 両翼を国に支えられ、何とか再建に向けた離陸の準備に入った。だが、航路の前方は厚い雲に覆われている――。日本航空の現状を旅客機に例えれば、こんな状況だろう。

 経営難に陥っている日本航空が29日、「企業再生支援機構」に支援を要請した。日航の再建は今後、国と銀行が設立した公的機関の下で進むことになる。

 この事態を受け、政府は国土交通省を中心とした関係府省による対策本部を設け、公的資金の投入などで再建を全面支援する。

 そのために、特別立法の制定も検討するという。国がここまで民間企業の再建に関与するのは異例のことだ。それだけ、日航の経営が危機的だということである。

 日本の航空輸送の6割を担う日航が経営破綻(はたん)すれば、国民生活や経済活動にも大きな影響が出る。公的資金を含めた国の支援はやむを得ないだろう。

 だが、日航はこれまで何回も国の支援を受けながら、親方日の丸的な甘い体質から脱却できなかった。二度とこうした事態を招かないよう、抜本的な経営改革に取り組まなければならない。

 企業再生支援機構は、ダイエーなどの再建を手がけた産業再生機構を参考に設立され、今月半ばから業務を始めた。支援対象企業の株や債権を買い取り、不採算事業の整理などを進める。

 日航の再建策作りに取り組んできた国交省の特命チームは、7000億円を超す金融支援と、抜本的なリストラを進めることで、再建は可能と判断している。

 このため日航は今後、9000人の人員削減や、内外45路線の廃止・減便、ホテルを運営する子会社の売却などを進める方針だ。

 3300億円の積み立て不足がある企業年金の削減も、再建に向けた大きな課題となる。

 日航に公的資金が投入されれば、その一部は年金支給の原資にも回る。これでは、国民はとても納得しないだろう。政府は強制的に年金を削減する措置も検討しているが、それを待たず、労働組合やOBは削減に応じるべきだ。

 日航には、八つの労組がある。複雑な労使関係が経営改革の足かせになっているのは明らかだ。この際、労組の整理・統合に踏み切る必要がある。現経営陣の刷新も避けられまい。

 機構は日航の財務状況を改めて精査する方針で、最終的に再建計画が固まるのはまだ先になる。日航は、この間の安全運航に万全を期してほしい。

2009年10月30日01時10分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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