HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 29 Oct 2009 01:16:53 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:代表質問 『国のかたち』競い合え:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

代表質問 『国のかたち』競い合え

2009年10月29日

 鳩山由紀夫首相の所信表明演説に対する代表質問が始まった。本格的な少子高齢化社会を迎えるに当たり、福祉と負担のバランスをどう考えるのか。「国のかたち」をめぐる論議を深めてほしい。

 最初に質問に立ったのは自民党の谷垣禎一総裁。政権交代後、与野党党首が国会の場で議論を戦わせるのは初めてだ。攻守入れ替わった論戦は見応えがあった。

 谷垣氏の質問を貫いていたのは子ども手当など鳩山内閣の政策の妥当性と、財源を含めた実現可能性に対する疑問だ。

 谷垣氏は「鳩山政権は各家庭に満遍なく巨額の支給をするなど、いきなり公助ありきの社会をつくろうとしている」と批判し、「わが国が目指すべき『国のかたち』は、大きな政府でも小さな政府でもなく、適切な規模の『中福祉・中負担』国家だ」と主張した。

 社会保障制度をどう構築し、その負担をどのような形で国民に求めるのか。「国のかたち」ともいえる政府の在り方は、国会論戦の最重要テーマだ。谷垣氏が掲げた「中福祉・中負担」は、民主党への挑戦状でもある。

 これに対し、首相は「大きな政府とか小さな政府という前に、政治は弱い立場の人々のためにある。市民やNPOの活動を政府が支援する。これが二十一世紀の新しい政治の役割と考えると、それほど大きな負担にならなくても大きな幸せを享受できる社会をつくることができる」と答えた。

 首相が「友愛政治」の原点とする弱者配慮が必要であることに異論はない。ただ、大きな負担なく、大きな幸せが得られるような二十一世紀の政治システムとはどのようなものか。残念ながらこの日の首相答弁からは具体像が見えてこなかった。

 政策実現の裏付けとなる財源についても、首相は「無駄遣い、不要不急の事業をまず見直すことなどにより、きちんと確保する」と述べた。まずは首相の言葉を信じたいが、国民が知りたいのは「どうやって」ではなかったか。

 残る二日間の代表質問に加え、衆参両院の予算委員会、鳩山、谷垣両氏による党首討論の場で、与野党はさらに「国のかたち」を競い合ってほしい。

 その意味で、民主党が衆院での代表質問や予算委で質問に立たないことに問題はないのか。国会は国権の最高機関で、唯一の立法機関だ。政府・与党一体は分かるが、与党の質問見送りが立法府の自殺行為にならないことを祈る。

 

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