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離島活用 海洋権益を確保する拠点に(10月28日付・読売社説)

 広大な管轄海域で海洋権益の確保に乗り出すには、活動の“足場”として、離島を積極的に活用すべきだろう。

 日本には、6847の離島がある。このうち南鳥島、沖ノ鳥島、沖大東島などは、海底資源開発などの経済的権利が認められる排他的経済水域(EEZ=200カイリ)と大陸棚を設定する基点となっている。

 日本近海の海底には、「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレート、貴金属を豊富に含む海底熱水鉱床が分布し、政府は今後10年をめどに商業化を目指している。

 政府は、内閣官房総合海洋政策本部が中心となって、今年度中にも離島の保全・活用に関する基本方針を策定する。離島を海洋開発の活動拠点と位置づけ、具体的な活用策を洗い出す予定だ。

 経団連はかつて、日本のEEZを七つに区分し、離島を「国際研究観測基地」「海底資源調査基地」「水産基地」などとして活用する構想を発表した。適当な離島がない海域には「浮体式洋上基地」を設置することも提案した。

 今年4月には、民主、自民、公明3党の国会議員でつくる研究会が同様の提言をしている。

 政府は、こうしたアイデアを十分吟味し、海洋権益の確保に資する活用策を策定してほしい。

 沖ノ鳥島について、中国が「EEZを設定できない『岩』に過ぎない」と主張している。国連海洋法条約では、「岩」だと領海(12カイリ)しか設定できない。

 中国は、島の周辺海域で海洋調査を頻繁に実施したことがある。防衛省は潜水艦の活動に必要なデータの収集が目的とみている。「岩」との主張には、西太平洋における中国海軍の行動の自由度を広げる意図があるのだろう。

 中国の指摘に対し、国際的な場できちんと反論することは当然だが、日本の主張が他国からも支持されるような環境を醸成することも大事だ。

 国土交通省の有識者研究会は先月、海上交通路の確保や海洋環境の保護などの「国際公益」に離島を役立てるべきだと提言した。重要な指摘である。

 豪州は、南極近くの無人島に自動気象観測所を設置し、世界気象機関のネットワークにデータを提供している。ノルウェーは、北極海近くの無人島に電波灯台や船舶用無線局を設置し、各国の漁業活動や海上航行に役立てている。

 海外の先進事例を参考にしながら、離島の国際的な活用策についても探ってもらいたい。

2009年10月28日01時10分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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