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社説2 国債金利上昇が発する警告(10/27)

 財政の先行きへの懸念も背景に国債金利がじりじり上昇している。

 指標となる新発10年物国債の流通利回りは26日、1.390%となった。6月ごろから低下基調だったが、10月6日の年1.240%を底に、0.15%上昇した。

 金利上昇の主な原因は、企業の資金需要が弱いため国債に資金を振り向けてきた金融機関が、国債を買いすぎたとの反省から一部売り戻していることや、米国の国債金利が上昇していることだとみられる。

 また市場関係者の間では、前政権下で膨らんだ国債発行額が鳩山政権の様々な新政策によってさらに増えるという見方が根強く、国債金利上昇の一因になっているという。

 国債を出し過ぎると、大幅な返済負担を後世代に残すほか、長期金利上昇を通じ経済に悪影響を及ぼす。日本銀行の金融緩和策や国債購入によって国債金利の上昇を抑え込んできたが、最近の金利上昇はその変化の兆しかもしれない。

 今年度は補正予算を合わせ約44兆円の新規国債発行を予定しているが税収の落ち込みから、実際の発行額は50兆円を超える可能性がある。政府は来年度、44兆円以下に収めたい考えだが、実現しても一般会計の約5割を借金に頼ることになる。

 国と地方の長期債務残高の国内総生産に対する比率は今年度末で169%(財務省)と先進国でも著しく高い。この比率はさらに上がる見通し。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは5月に日本国債を格上げしたが、なお米、英、豪、加やベルギーなどに比べ信用度が低い。

 財政の基礎的収支(国債の元利支払い分を除いた歳出と、国債発行を含まない歳入との収支)が黒字になり、名目成長率が国債金利を上回れば財政は健全化に向かう。今はそれら2つの条件を満たすメドが全くついていない。高齢化で家計貯蓄率が低下しており、今のように国債の大半を国内で消化できなくなれば国債金利の新たな上昇要因となる。

 鳩山政権は様々な新政策を検討する一方、財政再建の目標や実施計画を急がない構えだ。せめて財政再建の目標をつくらないと、市場関係者の不安心理を強め、国債金利の上昇に拍車をかける恐れがあろう。

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