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10月27日付 編集手帳

 ソニーの創業者・井深大氏は、ホンダの創業者・本田宗一郎氏の語り口を愛した。自分(井深氏)ならば「原価率を0・2%下げるのに皆で苦労した」と言う◆〈本田さんだと、「一銭、二銭で、みんなしてボロをまとってやってきた」という具合になるのです〉(「わが友 本田宗一郎」)。胸に届く言葉、頭脳に届く言葉――言葉にも“宛先(あてさき)”があるらしい。優劣はなく、時と場合でどちらも必要だろう◆鳩山首相はきのうの所信表明演説で、「胸」宛ての語りを心がけたようである。市井の人のエピソードを交え、平易な言葉遣いで語った。〈戦後行政の大掃除〉〈無血の平成維新〉といった惹句(じゃっく)もちりばめられている◆それはそれで情熱の伝わってくるいい演説ではあったが、聴き手の情感に訴える「胸」宛てはここまでだろう。政策の財源をどうするのか。日米関係を具体的にどうしたいのか。たとえ情緒には乏しくとも“原価率を0・2%…”式の、厳密で輪郭のはっきりした言葉で話してくれなければ理解のしようもない◆明日からの代表質問では「胸」から「頭脳」へ、言葉の宛先を変えてもらおう。

2009年10月27日01時27分  読売新聞)
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