HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 25 Oct 2009 22:17:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:緊急雇用対策 年末控え実行を急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

緊急雇用対策 年末控え実行を急げ

2009年10月24日

 鳩山内閣は緊急雇用対策を決めた。失業者や困窮者への支援と雇用創出が柱で、雇用悪化に歯止めをかける姿勢が見える。「年越し派遣村」再現を防ぐためにも各種施策を速やかに実行すべきだ。

 政権が交代しても各地の公共職業安定所(ハローワーク)は求職者や就職相談、失業手当や雇用調整助成金の申請者などであふれている。東京・新宿のハローワークでは毎日四千人もの人が詰め掛けている。

 政府の緊急雇用対策本部(本部長・鳩山由紀夫首相)が決めた雇用対策は盛りだくさんだ。

 まずハローワークの利便性を高める。失業したとたん住宅と生活費を失うケースが珍しくない。そこで職業紹介から住宅確保、生活費の融資、生活保護の相談まで一つの窓口で対処する「ワンストップ・サービス」を東京や愛知などで試行することになった。

 大卒・高卒者の就職を支援するためハローワークに専門員を配備する。求人開拓と企業に中途・通年採用の拡大を働きかける。

 雇用創出では介護や農林、環境、観光分野などに重点を置く。介護では施設で働きながらホームヘルパー二級などの資格を無料で取得できる制度を新設する。

 これらの施策推進のため政府部内に政労使による「雇用戦略対話(仮称)」、地方に自治体などによる「地域雇用戦略会議(仮称)」を新設することになった。

 一連の対策によって本年度末までに約十万人の雇用維持・創出効果があると見込んでいる。

 今回の対策には労働弱者を積極的に支援する視点がある。政府は早急に態勢を整えてスピード感をもって実行してもらいたい。

 同時にハローワークの現場力を強化することが重要だ。ワンストップ・サービスとなれば職員や相談員たちのきめ細かな配慮が欠かせない。窓口では失意に落ち込みがちな相談者に対して、丁寧な応対を心掛けてもらいたい。

 今回は景気対策が抜けている。雇用情勢を改善するには当面の景気回復に加え経済成長が不可欠だ。財政に余力は乏しいが、できれば来年度予算の編成の中で検討すべきだ。新事業や新技術開発で企業などへの税制・金融支援も選択肢の一つである。

 昨年秋以降、世界不況の影響で非正規労働者を中心に失業者が急増し各地に「派遣村」が出現して社会問題となった。その轍(てつ)を踏まないよう、政府は雇用の悪化防止に全力を挙げてもらいたい。

 

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