HTTP/1.0 200 OK Age: 74 Accept-Ranges: bytes Date: Mon, 26 Oct 2009 00:19:57 GMT Content-Length: 7630 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Mon, 26 Oct 2009 00:12:52 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより検索フォームへ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

春秋(10/26)

 今週末、東京の御茶ノ水に漫画とサブカルチャーの専門図書館が誕生する。名前は米沢嘉博記念図書館。3年前に53歳で亡くなった漫画評論家、米沢氏の蔵書14万冊を収蔵する。母校である明治大学の施設だが、一般の人も利用できる。

▼米沢氏は毎回55万人を集める漫画同人誌の即売会、コミケことコミックマーケットの主催者として知られていた。運営方針は来る者拒まず。有名なヒット作を模したパロディー作品があふれ、既存の出版社は当初まゆをひそめた。今は作家の孵化(ふか)器として定着し、似た催しが全国で年間1800回も開かれている。

▼日本で漫画が盛んになった背景に同人誌市場の存在があったのではないかと、図書館作りの中心となる森川嘉一郎准教授は推測する。30年余の間にコミケで売られた冊子は1冊ずつ事務局が保管している。有名作家の無名時代の作品もあり研究者には貴重な資料だ。これらの同人誌も一部だが図書館で閲覧できる。

▼明大は5年後に漫画やゲームなど200万点を集めた本格施設を作る。子供のものと世間で思われていたころから漫画に入れ込んできた人々の蔵書を、協力して保管し後世に伝える場にする。官製「アニメの殿堂」は政権交代で中止されるが、景気対策のハコモノと違って、こちらの施設には民間の熱意がこもる。

社説・春秋記事一覧