HTTP/1.0 200 OK Age: 212 Accept-Ranges: bytes Date: Sun, 25 Oct 2009 21:17:39 GMT Content-Length: 7638 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Sat, 24 Oct 2009 14:17:29 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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春秋(10/25)

 東大教授で作家、詩人でもある松浦寿輝さんが愛用のオートバイを盗まれたのは46歳のときだ。四輪車に乗り換えて書いた。「たしかに快適だし、ずっと安全性も高いけれど、しかしそのぶん、生きるうえでの態度としてはどこか守りの姿勢に入ることになる」

▼日本国中が守りに入ったのか、バイクが売れない。ピークの1982年に329万台売れたのに今年は40万台を割るという。8分の1だ。何とかしようと、日本自動車工業会が四輪車の免許で125ccバイクに乗れるようにしてほしいと警察庁に要望した。50cc以下、が今のルールである。

▼まず認められないだろうとは思うが、やめたほうがよくはないか。125ccといえばクルマと遜(そん)色(しょく)ないスピードが出る。しかし転ぶ。転べばまずけがをする。シートベルトを締めて箱の中に座る姿と比べれば、危険なことが分かる。乗るには少々の覚悟と「攻め」の姿勢が要る。同じ免許でどうぞ、とはいかない。

▼「雨にぬれながら走っているオートバイを見ると、あれは自分なんだなあって思うんですよ」。バイク好きの落語家、柳家小三治さんが言っている。そうそう、と思えるかどうか。おととい始まった東京モーターショーには中高年を当て込んだ大型バイクも並んでいるが、攻めの気持ちなしに操れる代物ではない。

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