鳩山政権で初めての国政選挙となった参院神奈川、静岡の両補欠選挙で、民主党の新人候補がいずれも勝利した。衆院選圧勝の勢いはひとまず続いており、26日召集の臨時国会を前に弾みとなる。ただ現政権は経済運営などに難しい課題を抱え、期待に実績で応えていく必要がある。
神奈川選挙区はみんなの党の浅尾慶一郎氏の衆院選へのくら替え出馬(比例代表で当選)、静岡選挙区は自民党の坂本由紀子氏の知事選出馬(落選)を受けて補選となった。選挙の結果は今後の与野党攻防にも大きく影響するだけに、各党が総力戦を繰り広げた。
民主党では鳩山内閣の発足から1カ月余りで迎えた今回の補選について「一つでも落とせば政権の求心力低下につながりかねない」との見方が強かった。鳩山由紀夫首相はじめ閣僚や党幹部らが現地入りし、万全の応援態勢で勝利に結びつけた。
鳩山内閣の支持率は発足後1カ月を経ても、日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査で70%台を維持している。今回の補選2勝は、「脱官僚依存」や「行政のムダ削減」といった公約実現への期待の大きさを示し、これまでの取り組みが一定の評価を受けていることをうかがわせる。
とはいえ、経済運営では年末の予算編成に向けて目玉政策と財源問題をどう両立させ、景気にどう配慮するかという宿題を抱えたままだ。日本郵政社長への斎藤次郎元大蔵次官の起用には批判が根強く、懸案である沖縄県の普天間基地の移転問題も解決のメドは立っていない。
首相の資金管理団体の虚偽記載問題も依然として政権の不安定要因となっている。国民の疑問に答える明確な説明を改めて求めたい。
一方、衆院選惨敗のショックを引きずる自民党は、今回の補選で反転攻勢の糸口をつかめなかった。谷垣禎一総裁を先頭に選挙態勢の立て直しを急いだが、支持団体の動きは鈍く、両選挙区で公明党の推薦が得られなかったことも響いた。
民主党との対立軸はなお不明確であり、それが補選の敗因にもなっている。このままでは来年夏の参院選を控えてさらに厳しい状況に追い込まれかねず、今回の敗北をテコに抜本的な党改革を急ぐ必要がある。