HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 24 Oct 2009 22:17:04 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:モーターショー 自動車100年の転換点に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

モーターショー 自動車100年の転換点に

2009年10月24日

 東京モーターショーが開幕した。世界不況で出展者が激減する中、エコカーが、しのぎを削る。ガソリンから電気へ。後世、自動車史の転換点といわれる重要なショーになるかもしれない。

 出展企業は半減した。欧州車の華やかな姿はない。SFアニメに出てくるような「コンセプトカー(試作車)」の製作には費用がかかる。確かに、例年に比べて地味な印象は否めない。

 四月の上海モーターショーには、東京の十数倍の千五百社が出展した。かといって、単純比較は難しい。向こうは「買い手」、こちらは「売り手」、要は東京からどんな情報を発信できるかだ。

 会場も縮小された。だが、狭くなったからこそ、見えてくるものもある。例えばコンセプトカーにこめられた「夢」とは異なる、自動車の現実的な近未来像である。

 それは、トヨタ自動車の豊田章男社長が開幕前の記者会見で語った「未来のため、地球のため、社会のため車を再発明する時代は目前に迫っている」という言葉にも象徴される。

 自動車量産化の道を開いたT型フォードの発売から百一年、内燃機関として発達してきた自動車は、温暖化対策、エネルギー問題の両面から、根本的な転換を迫られている。会場は「エコカー」というよりは、ハイブリッド(HV)を含めた電気自動車(EV)による覇権争いの様相だ。

 目前に迫った脱化石燃料社会に向けて、未来車というより、環境配慮と快適性を兼ね備えた「モビリティー(移動手段)」の在り方を模索し、苦闘するメーカー各社の生々しい姿が見える。

 HVで先行するトヨタ、追いかけるホンダに対して、EVで逆転を狙う日産など…。来年後半に発売予定の日産のEVは、一回の充電で百六十キロの走行が可能で、電気代は深夜電力ならば一キロ一円程度だ。価格は、一・五リットルクラスのガソリン車と同等の二百万円台をめざす。トヨタも家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド(PHV)を出展、スズキは、充電専用の補助エンジンをつけた独自のPHVを世に問うた。自動車の概念が、急激に変わりつつあるのがわかる。

 自動車百年の「再発明」は、地球全体が迫られる低炭素社会の先触れだ。われわれが「再構築」すべき社会や暮らしの在り方を、コンパクトになった会場の中から読み取りたい。

 

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