HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58544 Content-Type: text/html ETag: "ff50c-1641-b4ac2940" Expires: Sat, 24 Oct 2009 01:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 24 Oct 2009 01:21:06 GMT Connection: close JR西役員辞任 国鉄一家に頼った愚行のつけ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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JR西役員辞任 国鉄一家に頼った愚行のつけ(10月24日付・読売社説)

 組織防衛しか眼中になかったのだろうか。JR西日本が繰り返してきた「企業風土の変革」という号令が(むな)しい。

 JR福知山線脱線事故をめぐる国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時)の最終報告書案漏えい問題で、JR西の佐々木隆之社長が前原国交相に調査の途中経過を報告した。

 併せて、脱線事故で在宅起訴された後に社長を退いていた山崎正夫取締役ら役員2人を、引責辞任させた。事実上の解任である。

 山崎前社長は、事故調の委員に働きかけて報告書案を公表前に入手し「ATS(自動列車停止装置)の優先的設置が必要だった」という文言の削除まで要求した。

 事故調査の信頼性を著しく失墜させたことを考えると、解任は当然の措置である。

 JR西の工作は報告書案の入手にとどまらない。

 事故調による意見聴取会を前にして、旧国鉄OBら4人に対し、意見を述べる「公述人」に応募するよう求めていた。

 落選した2人には各10万円の謝礼も渡していた。JR西に有利な発言をしてもらう狙いだったとみられても仕方あるまい。これにも山崎前社長がかかわっていた。

 1996年に起きたJR函館線脱線事故の会議資料の一部が、事故調や兵庫県警に提出されていなかった問題もある。

 未提出分には、函館線の事故は「新型ATSを設置していれば防げた」という記述があった。JR西は「意図的ではない」と説明するが、福知山線事故の捜査の焦点となる部分だった。

 事情聴取対策と受け取れる内部資料を作成して社員に配布し、神戸地検から捜査妨害にあたるとして注意を受けてもいる。事故当時の社長だった垣内剛・元社長も、事故調の別の委員と会食していたことが明るみに出た。

 組織ぐるみで数々の工作を重ねた一連の動きは、遺族・被害者の感情を踏みにじる行為だ。事故への反省がうかがわれない。

 JR西の接触相手は多くが旧国鉄OBだった。山崎前社長は「国鉄一家の(きずな)に頼り、愚かな行動をした」と釈明したが、これまではそれが通用してきたのだろう。

 福知山線事故捜査で神戸地検が不起訴にした垣内元社長ら歴代3社長について、神戸第1検察審査会が「起訴相当」と議決した。

 事故の背景には収益拡大を最優先した経営方針があった。再捜査に入る地検は、そうした企業風土にも切り込んでもらいたい。

2009年10月24日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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