二〇〇五年の総選挙で、郵政民営化を掲げた小泉・自民党は大勝した。この夏の総選挙では、その民営化を抜本的に見直すと公約した鳩山・民主党が大勝した。これは一体、何を意味するのか▼まずは、国民はいったん民営化を熱狂的に支持したが、四年の間にすっかり心変わりし、今度は見直しを熱狂的に求めたという解釈が成り立つ。鳩山内閣が、大幅な民営化見直し方針を閣議決定したのも、この解釈が前提である▼どちらの選挙でも、国民が大ざっぱに変化を望んだのは確かだ。だが「民営化」も「見直し」も、あなたが積極的に選んだことだ、と言われると、うーん、となる人が多いのではあるまいか▼そもそもが話の最初。改革も必要か、ぐらいの考えはあったにせよ、国民の間に、どうしても民営化を、というほど旧郵政への不満が募っていたとは思えない。逆に、民営化された郵政への思いも似たようなものかと思う。どちらも、先導したのは政治の思惑だろう▼政権の目指す大幅見直しは、単純に郵政を元に戻すという話ではないそうだが、事実上の公社化も思わせる内容。やはり「ギッタン」となったシーソーが、「バッコン」と元に戻るような印象はある▼「郵政」は政治の玩具(おもちゃ)、と言って悪ければ、遊具にされた…。「総選挙結果がある」と言われると弱いが、どうしても、そんな感じがするのである。