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春秋(10/23)

 社長のタイプが変わると企業が変わる好例かもしれない。キリンビールのことだ。今年9月までのビール類の出荷量シェアは業界トップで、年間首位奪還を狙う。サントリーとの経営統合を目指すなど、最近の果敢な経営は注目される。

▼かつては業界のガリバーといわれたが、長い雌伏の時代を経験した。顧みれば1996年の佐藤安弘社長の登場が転機だった。歴代社長は国立大学卒が続き、いかにも大企業経営者らしいタイプが多く「キリン紳士」と呼ばれた。佐藤さんは同社では異色の私大卒で、関連会社への出向生活も長く傍流出身である。

▼「私はビール屋のおやじですから、えらそうなことは言えません」と、飾らない人柄で企業文化を変えた。その後も個性的な社長が続いている。企業は発展期には人材が多彩だが、次第に出世コースができて、どこで切っても同じ顔が出る金太郎アメのようになりがちだ。そつのない人が社長に就く確率も高まる。

▼いつの間にか官僚的な企業体質に変わり衰運に傾いていく。流れを変えるには、やはり従来とは異質の人材をトップに起用することだ。しかし狭量な社長はイエスマンを周りに集め、自分と違うタイプを本能的に遠ざける。実際には容易なことではない。優れた経営者が生まれたら、選んだ人にも大きな功がある。

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