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社説2 中国経済の回復は道半ば(10/23)

 中国の7〜9月の国内総生産(GDP)は前年同期に比べ実質8.9%増となった。四半期ベースで2期連続で前の期を上回り、回復傾向が鮮明になった。ただ公共投資をはじめ政府の景気刺激策が支えとなっており、本格的な成長軌道に復帰したとはいいがたい。

 成長率は1992年以降で最低水準だった1〜3月に比べると2.8ポイント回復した。1〜9月の成長率は前年同期比7.7%となり、中国政府が今年の目標とする「8%前後」の達成に近づいた。

 輸出の低迷で7〜9月の貿易黒字は前年同期の半分以下まで落ち込んだ。成長の主因は内需で、共産党政権が唱える「内需主導の成長への転換」が進んでいるように見える。1月には前年同月比45%減を記録した日本の対中輸出が9月は13%減にとどまるなど、中国経済の回復は日本の景気動向にもあらわれている。

 注意が必要なのは内需の中身だろう。設備投資や建設投資を合計した固定資産投資は30%以上増えたが、民間の投資は低調で、主力は公共事業とみられる。消費は15%を上回る伸びを記録したとはいえ、投資の勢いには及ばない。消費には政府による購入も含まれているため、個人消費の力強さには不透明感が強い。

 中国政府も「経済の自律的な(回復)力は不足している」とみており、公共投資が息切れすると回復の歩みが鈍る可能性は否定できない。投資の膨張が将来の供給過剰を招くおそれも指摘されている。

 「内需主導」の定着へ、民需、とりわけ個人消費の拡大を促す努力が求められる。国民が安心して消費できる環境を整えることが大切だ。費用がかかり過ぎるとの不満が強い医療や教育の整備、社会保障の拡充などを急ぐ必要がある。

 2008年半ばから事実上のドル連動に戻っている人民元の切り上げも検討課題だろう。国民の購買力の実質的な上昇につながるうえ、今回の金融危機の一因である世界的貿易不均衡の緩和にも役立つはずだ。

 外貨保有高が世界最大で貿易黒字も保っている中国の通貨が、世界最大の債務国で赤字を垂れ流している米国の通貨に連動していることは、世界経済の不安定要素である。

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