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「全精社協」事件 ずさんな補助金行政を糾せ(10月21日付・読売社説)

 福祉行政と補助金のずさんな一面が浮き彫りとなった。

 社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」(全精社協、東京)の会長らが国の補助金5100万円を不正受給したとして大阪地検特捜部に逮捕された。

 不正受給は厚生労働省側から持ちかけられた、とする全精社協関係者の証言がある。

 今後の捜査結果を待たねばならないが、補助金を出す側も受ける側も、公金意識が極めて欠如していたことは明らかだ。徹底的に(ただ)していく必要がある。

 逮捕された全精社協の会長らは障害者自立支援の調査研究事業に基づく補助金を2007年度と08年度に受給していた。しかし、実際には調査をしていなかった。

 補助金の一部は、全精社協が栃木県で運営する障害者自立支援施設「ハートピアきつれ川」の資金に充てたと見られている。

 この施設は、精神障害者が働きながら社会復帰を図る場として、温泉ホテルに授産施設を併設したもので、取り組み自体は評価する声も多い。だが、これを維持するためのやむを得ない不正という図式ではなさそうだ。

 自立支援施設は、元々は「全国精神障害者家族会連合会」(全家連)という財団法人が厚労省の提案を受け入れる形で開設した。だが、全家連は、今回の事件に似た補助金流用などが発覚し、07年に自己破産した。

 その後、施設を引き継いだのが全精社協である。ところが、ここもまた、運営実態はずさんなものだった。経理担当の元事務局次長が、すでに業務上横領罪でも起訴されている。

 不正受給した補助金は、ハートピアきつれ川の運営だけでなく、厚労官僚への贈答や、厚労族議員への政治献金に充てられた疑いもあるという。

 厚労省が自ら提案した事業の失敗を避けるために、引き継いだ全精社協に対し、さまざまに配慮した可能性が指摘されている。

 大阪地検特捜部による今回の事件捜査は、先に同地検が摘発した郵便割引不正事件に、厚労省障害保健福祉部の幹部が関与していたことに端を発している。

 障害福祉行政の中に潜む不正はまだまだある、と見られても致し方あるまい。

 長妻厚労相は独自に内部調査をするよう指示している。補助金の在り方を見直すには、まず、このような不正事件を全部あぶり出さねばならない。

2009年10月21日01時16分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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