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社説2 経済財政の司令塔はだれか(10/21)

 鳩山政権の経済財政運営の軸がひと月たってもみえない。予算案の編成や経済対策の作成、中長期の財政再建の道筋などについて大方針を示す司令塔を早急に確立すべきだ。

 2010年度の国の予算案の編成が本格化している。だが景気浮揚策との兼ね合いなど経済運営の当座の方針があいまいなことが各省の作業を混乱させている。首相、行政刷新相、財務相はそれぞれ一般会計の総額を92兆円以下に抑えると表明した。各省の要求額は総計95兆円、事業の題目だけを挙げる事項要求を含めると97兆円を超すもようだ。

 どういう基本方針や原理に基づいて3兆円を超す要求を削るのか。それを明示するのは経済財政担当相の菅直人副総理の仕事である。その方針が打ち立てられていない。菅氏は経済財政諮問会議を消滅させた。自公政権にならう必要は毛頭ないが、諮問会議を司令塔に予算編成や中期の経済運営について「骨太の方針」を決めるのはひとつの手法だった。

 国内景気は持ち直しつつあるが、年末に向けて再び停滞色を強める恐れも念頭におかなければならない。とくに雇用情勢は深刻さを増すだろう。いまほど経済と財政のバランスが問われているときはない。

 今年度の2次補正予算案の編成が取りざたされている。来年度の当初予算案と合わせて、どういう財政出動を盛り込むのかの議論を急いでほしい。経済成長を促す効果が大きく、経済全体の活力向上に役立つ予算案づくりに細心の注意が必要だ。

 中長期の方針もはっきりさせていない。日本経済は少子化と長寿化が同時に加速する人口激変に直面している。そのなかで年金や医療の制度設計と国民負担のあり方はどうするのか。国や地方自治体が抱える長期の借金はどう減らしてゆくのか。

 経済の体力が復調した後の課題ではあるが、国民の間に渦巻いている将来への不安感をやわらげるためにも、その道筋を明確にする作業に早く取りかかってほしい。

 民主党政権は政策判断をせずにマニフェスト(政権公約)に寄りかかりすぎている。子ども手当など社会保障の予算要求が水ぶくれしたのはそのためだ。マニフェストに優先順位をつけるのも経財相の仕事である。

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