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米財政赤字 オバマ政権を悩ます難題に(10月20日付・読売社説)

 途方もない規模で米国の財政赤字が拡大した。早期の財政再建が、オバマ政権にとって重い課題となる。

 米国政府の2009年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字は、史上最悪の1兆4171億ドル(約129兆円)に膨らんだ。1兆ドルの大台を超えたのは初めてで、前年度の3倍に達した。

 財政赤字の国内総生産(GDP)に対する比率も、戦後最悪の10%に上昇した。極めて深刻な財政赤字といえよう。

 米国政府は、「100年に1度」の金融危機に対応し、大規模な景気対策と金融支援策を実施した。一方、景気後退で税収も大幅に落ち込んだのが主因だ。

 経済の底割れを防ぎ、危機を乗り切るため、異例の財政出動はやむを得なかった面がある。

 だが、財政赤字の急拡大は避けなければならない。ドルへの信認が揺らぎ、金融市場を混乱させかねないからだ。

 為替市場では、円やユーロなどに対し、ドル安傾向が続き、金の価格が高騰している。ドルに代わる基軸通貨は見当たらないが、市場がドル資産の目減りに神経質になっているためだろう。

 さらに懸念されるのは、長期金利の上昇だ。財政悪化に嫌気が差し、米国債が売られると、国債価格は下落(金利は上昇)する。

 金利上昇は、政府の国債利払い費負担を増大させ、景気回復にも冷や水を浴びせる。

 今後の焦点は、財政赤字の拡大にどのように歯止めをかけていくかである。

 オバマ大統領は、13年度までの任期中に、「財政赤字を半減させる」目標を掲げている。

 しかし、大統領の目標達成には高いハードルが待ち受ける。

 金融危機は最悪期を脱し、米国景気も年内に底打ちする見通しという。だが、失業率は約10%に上昇して雇用情勢が悪化し、個人消費も低迷している。景気回復の足取りは緩慢だ。

 その結果、税収の伸び悩みもしばらく続くとみられる。

 このため、追加景気対策を求める声があるが、一方で、アフガニスタンへの増派など国防費が増大する可能性が出ている。

 大統領が意欲的な医療保険改革の行方も気がかりだ。大統領は、医療支出を削減するシナリオを描くが、逆に財政赤字が拡大する恐れもあり、楽観できない。

 財政を再建する即効薬は、見当たらず、大統領は今後、難しい(かじ)取りを迫られよう。

2009年10月20日01時05分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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