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年金機構発足 制度の抜本改革も忘れるな(10月20日付・読売社説)

 長妻厚生労働相が年金問題に取り組み始めた。手腕が期待される分野だが、課題が山積しており前途は多難だ。

 まず長妻厚労相は、社会保険庁の後継組織「日本年金機構」を前政権の方針通り、来年1月に発足させることにした。

 民主党は社保庁と国税庁を統合する「歳入庁」設立構想を掲げており、新機構の凍結や白紙化も検討したようだが軌道修正した。

 妥当な選択と言えよう。

 すでに民間から約1000人の採用も内定し、準備が相当に進んでいるという事情もある。だがそれ以上に、社保庁の数々の不祥事の根源を顧みれば、年金機構はきちんと発足させるべきものだ。

 年金機構は非公務員型の公法人である。能力不足の職員でも身分が保障されてきた公務員組織ではなくなる。社保庁のような仕事ぶりは許されない。

 幹部ポストにも多数の民間経験者が加わり、組織運営に第三者の目が入る。活力をもって国の業務を担うという、新形態の組織を機能させる意義は大きい。

 予定通りの発足を決めたことで長妻厚労相は問題ある社保庁職員の処遇という難問に直面する。

 年金機構は懲戒歴のある約800人は採用しない方針だ。民間企業の解雇にあたる分限免職が適用される可能性が高い。その際に甘い対応をすれば、民主党の支持母体である連合傘下の職員労組に配慮したと見られよう。

 長妻厚労相は有識者による「年金記録回復委員会」も発足させ、2年間で集中的に年金記録の徹底調査を行うと表明した。来年度予算の概算要求に1779億円を盛り込んだ。

 ずさんな年金記録の回復作業に力を注ぐことは重要だ。ただし、巨額の予算を投じるだけの効果的な記録確認ができるかどうか疑問の声もある。確認作業の限界について、いずれは見極めが必要になるだろう。

 また、2年間を記録確認のみに費やされては困る。民主党は、年金制度の改革論議を政権3年目以降の課題としているが、あまりに悠長ではないか。

 消費税率の引き上げと不可分である年金抜本改革の議論に着手することはもちろん、現に直面している無年金者対策のために最低加入期間を10年に短縮するなど、現行制度の手直しも急がなくてはならない。

 年金制度の信頼回復には、組織再生、記録の確認、制度改革のいずれも不可欠である。

2009年10月20日01時05分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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