HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 20 Oct 2009 01:17:03 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:新型インフル 医療機関同士の連携を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

新型インフル 医療機関同士の連携を

2009年10月20日

 新型インフルエンザはこれから本格的な流行を迎えるとみられる。十九日から国産ワクチンの接種が始まったのを機会に、感染の拡大防止、感染者への診療体制などに万全を期したい。

 接種は、先に政府が決めた優先順位に従い、感染者の治療に直接携わる医師や看護師ら医療従事者を皮切りに、妊婦、ぜんそくや糖尿病をはじめとする基礎疾患患者、幼児などの順で行われる。

 接種しても感染を防止できるわけではないが、重症化を防ぐ効果は期待できる。ワクチンの限界を踏まえたうえでの接種が望ましい。

 当初は二回接種を前提に年度内に国産ワクチン二千七百万人分、年末から来年一月にかけて輸入ワクチン五千万人分を確保し、希望者全員に接種する計画だったが、輸入ワクチンには免疫増強剤が添加されていて欧米に比べ日本人の子供は熱性痙攣(けいれん)を起こす頻度が高いことが指摘されていた。

 明るい材料は、米国が九月、十歳以上の健康な子供の場合、一回の接種で十分とする臨床試験の結果をまとめており、国内での臨床試験でも同様の結果が得られたことだ。厚生労働省は十三歳以上について一回接種にする方向で検討しており、正式決定されれば、輸入ワクチンの接種を減らせる。

 今後、流行のピークを迎えるに当たって最も懸念されるのは、子供への適切な医療の確保だ。

 これまでに百三十人近くが重症化し、その大半は十代以下だ。

 子供の場合、脳症や呼吸不全などが急激に起きやすく、早期の集中治療が欠かせない。

 こうした重症者は人工呼吸器などがそろった高度な医療機関しか受け入れることができないが、そこに軽症者が集中することのないようにする必要がある。基幹病院を中心に地域の開業医とネットワークをつくり、軽症者は開業医が診療し、重症化の恐れがある患者は基幹病院に速やかに搬送する体制をつくらなければならない。

 七〜八月に大流行した沖縄県では、こうした体制で乗り切った。

 厚労省は同県の成功例を他の自治体にも広く伝えるべきだ。電話による発熱相談体制も拡充したい。電話がつながらないために医療機関を直接訪れるケースが少なくないからだ。

 国民一人一人が、咳(せき)やくしゃみを周囲に飛ばさない「咳エチケット」の実行、外出先から帰ったあとの手洗いなど、感染拡大予防に努めることも求められる。

 

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