「アマは和して勝つ、プロは勝って和す」。巨人、西鉄など五球団で監督を務め、「知将」と呼ばれた三原脩さんの名言だ。プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)初出場で第二ステージに駒を進めた東北楽天ゴールデンイーグルスに、それを実感する▼スポーツ紙などを通じ、「ぼやき」の形で選手を非難することもある野村克也監督(74)にチーム内では不満もあったようだ。それでも、勝つことでチームは一丸となった。まさに「勝って和す」である▼チームの快進撃と監督の去就への注目が重なり、メディアでの野村監督の露出度が高い。今季限りの退任への恨み節から「CSはくそったれシリーズ」と命名したのも監督らしい▼その昔、三原さんは守備や走塁などに秀でた選手を「超二流」と呼び大胆に起用した。他球団からお払い箱になった選手を再生させる野村監督の手法も似ている▼「再生の極意があるとすれば、それはいかに『気づかせるか』ということに尽きる」(『野村再生工場』−〓(しか)り方、褒め方、教え方)。スター選手を集めたチームにはない蘇生(そせい)のドラマが、楽天にはある。あすからは日本シリーズ進出をかけ日本ハムと戦う▼セ・リーグは中日が第二ステージに進出した。引退直前の選手が命を燃やし尽くすようにプレーする姿は胸を打つ。やっぱりプロ野球っていいなと思う。