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社説1 核軍縮に向け一歩踏み出すオバマ政権(10/18)

 日本が提出した核兵器廃絶を目指す国連決議案に、米国が初めて共同提案国として名を連ねた。オバマ政権は自国が保有する核兵器を半減する目標実現も国連の場で公約した。

 「核兵器なき世界」を唱えるオバマ大統領は今年のノーベル平和賞に選ばれ、「行動への要求」と受け止めると語っていた。行動への一歩として、歓迎したい。

 国連決議案は(1)米ロの核軍縮交渉を評価し、他の核保有国にも軍縮努力を求める(2)包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効(3)北朝鮮に対する国連制裁決議の順守――などを盛り込んでいる。

 同種の決議案は1994年以降、日本が中心となって毎年提出し、国連総会で採択してきた。米国はブッシュ前政権下で一貫して反対してきた。米国が9年ぶりに日本の主張に賛同し、共同提案国として履行する意思を示した意義は大きい。

 オバマ政権は決議案の実効性を高める意味でも、まずはCTBTの発効に道筋を付けるべく、米議会に条約の早期批准を促してほしい。

 米国は国連総会の第1委員会(軍縮・安全保障)で、2012年までに自国の核兵器を01年比で半減するとも表明した。ブッシュ前政権も同様の目標を掲げていたが、オバマ政権として核軍縮に不退転の決意で臨む姿勢を示したといえる。

 半減目標を達成すると、米国の核兵器は約5000個に減る。冷戦終結から20年を迎える今でも、世界には2万個を超える核兵器が存在し、うち9割以上は米ロが保有する。

 米ロは12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる核軍縮条約交渉で、戦略核弾頭の保有上限を各1500〜1675個とすることで合意した。START1と比べて約3分の1に削減されるが、米ロは戦略核、戦術核の一層の削減を目指す必要がある。

 核軍備を増強している中国にも、核軍縮を求めたい。国連安全保障理事会が先に採択した「核兵器なき世界」を目指す決議には中国も賛成した。重く受け止めるべきだろう。

 オバマ政権の核軍縮への積極姿勢は、唯一の被爆国として核兵器廃絶を唱えてきた日本に追い風となる。

 川口順子元外相とエバンズ元豪外相が共同議長を務める核不拡散・核軍縮に関する国際委員会は、きょうから20日まで広島で第4回会合を開く。来春の核安保サミット、核拡散防止条約(NPT)再検討会議を視野に、1月にも具体的な行動計画を明記した報告書をまとめる。日本の主張を行動に生かす好機である。

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