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社説2 総合スーパーは“売り物”探せ(10/20)

 消費不振が続くなか、総合スーパーの落ち込みに歯止めがかからない。今年度上期の決算では、勝ち組とされてきたイトーヨーカ堂も上場以来初めて営業赤字に転落した。

 百貨店売上高が9月で19カ月連続の減少となるなど、小売業を取り巻く環境は厳しいが、低廉な商品を大規模に供給する総合スーパーのビジネスモデルそのものが、ここへきて壁に突き当たっている。商品調達から店舗の再配置まで、抜本的に経営を転換しないと再生は難しい。

 服のユニクロ、家具のニトリ、靴のABCマート――。消費不況のさなかに売り上げを伸ばしているのは、独自商品を企画し、海外で安くつくり、大量に売り切る専門店チェーンだ。何でもひと通りそろえるだけのスーパーに代わり、消費者のニーズをつかんでいる。食品も大型化が進む産直品販売所や宅配サービスがシェアを増している。

 スーパー各社も商品を絞り込み、独自商品を拡充するほかない。調達先の多様化も迫られる。経営再建中の西友が、親会社である米ウォルマート・ストアーズの商品調達力を生かし、徹底した低価格路線で業績が上向きだしたのが、注目される。

 店舗の見直しも避けられない。各社は出店規制の緩和を受け大規模ショッピングセンターや都市再開発の核店舗として大型店を出し続けた。いきおい経営効率は悪化し、店舗ごとの「売り物」もなくなっている。

 家に近く、あまり店内を歩く必要がなく、安く、陳列が分かりやすい。今や、消費者はそんな店を好む。食品、日用雑貨、基礎衣料に絞った小商圏型の生活スーパーへの転換は、ひとつの選択肢となるだろう。

 出店場所も、町なかが高齢者や子育て中の親らに喜ばれる。個人経営の青果店や鮮魚店が消え、ふだんの買い物に住民が不便な思いをする地区は東京などの大都市にもたくさんある。コンビニや食品スーパー事業で培ったノウハウを生かすべきだ。

 アジア新興国にも目を向けたい。中流層が育ちマイカー時代を迎えつつあるからだ。総合スーパーやショッピングセンターの経験が生かせる。欧米の小売業大手に比べ日本勢の規模はまだ小さい。出店戦略にも再考の余地があるのではないか。

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