HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58064 Content-Type: text/html ETag: "15da52-15d9-d07d6400" Expires: Sun, 18 Oct 2009 23:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 18 Oct 2009 23:21:06 GMT Connection: close 新型インフル 診療は重症患者を優先的に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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新型インフル 診療は重症患者を優先的に(10月19日付・読売社説)

 新型インフルエンザの流行拡大で医療機関がパンクしつつある――。厚生労働省が、そんな警告を発している。

 全国約5000の定点医療機関の報告では、最新1週間の新規患者数の平均が、1機関当たり10人を突破した。前週から倍増しており、厚労省の基準で「注意報レベル」に当たる。

 新型用ワクチンの接種も、今週から全国で、まず医療関係者を優先対象として始まる。

 流行のピークはまだ先で、これからが正念場と言える。厚労省と都道府県、医師会は、診療やワクチン接種が円滑に進むよう連携を密にせねばならない。

 診療を巡る問題の一つは、救急患者向けの医療機関の混雑だ。重症者を24時間体制で受け入れる前提だが、軽症者が多数来る。

 特に夜間・休日は患者であふれる。外で7時間待ったという例も北海道で報告されている。

 これで重症者に対応できるのだろうか。新型インフルエンザでは重症者を早期に治療できるかどうかが命を左右する。

 特に小児の感染は深刻だ。東京都の例では重症例の6割以上を10歳未満が占める。全国でも小児の重症者や死者が続発している。

 もう一つの問題が「念のため」受診だ。家族が感染した時、自分は感染していないと勤務先に証明するなどの目的があるが、これが混雑に拍車をかける。

 軽症、まして発熱などの症状がないのであれば安易に病院に行かないよう、政府は呼びかけてもいい。開業医の夜間・休日診療も増やせないか。企業や学校も、インフルエンザの疑いで休む時は、診断書を求めない配慮が要る。

 ワクチン接種も課題が残る。

 接種業務を受託する医療機関の決定が各地で遅れており、東京都など一部地域では、接種の開始がずれ込む恐れが出ている。政府は手続きを加速すべきだ。

 ワクチン接種は政府の対策の柱だ。発症や重症化を防ぐ効果が高い。接種率が上がれば、重症者が集中発生するのを抑えられ、医療機関の負担も軽減できる。

 ただ、ごくまれに発熱などの副作用がある。重い副作用を補償する制度もあるが、接種率を上げるには、効用やリスクについて理解を広める努力が欠かせない。

 もう一つ、インフルエンザ流行のピークが来年の受験の季節と重なることにも気を配りたい。10歳代での感染拡大を考えれば、大学などは、今から入学試験の追試も検討しておいた方がいい。

2009年10月19日01時06分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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