HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58357 Content-Type: text/html ETag: "3919ad-162c-7f72b740" Expires: Sun, 18 Oct 2009 03:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 18 Oct 2009 03:21:05 GMT Connection: close 全国学力テスト 性急な見直しは禍根を残す : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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全国学力テスト 性急な見直しは禍根を残す(10月18日付・読売社説)

 小学6年生と中学3年生を対象に、全員参加方式で実施されてきた全国学力テストが、わずか3年間で抽出調査に変更される見通しとなった。性急な見直しは疑問だ。

 文部科学省は来年度予算の概算要求で、実施費用として今年度より21億円減の36億円を計上した。学級単位の抽出調査とし、全体の40%で行う。調査対象外でも、小中学校の設置者である市町村などが希望すれば参加を認める。

 全国学力テストは1960年代にも全員参加方式で行われたが、日本教職員組合の反対闘争で中止を余儀なくされた。しかし、2004年に公表された国際学力調査の結果、学力の低下が浮き彫りになり、復活の機運が高まった。

 このため、専門家らが実施方法を検討し、再三の国会審議も経て07年に43年ぶりに復活した。

 日教組を支持母体に持つ民主党は、総選挙前から、予算の無駄遣いを検証する「事業仕分け」で学力テスト見直しを掲げていた。

 だが、新政権発足後、専門家の意見を聞いたのは実質2日間だ。復活までの多様な議論に比べ、あまりに拙速ではないか。

 そもそも学力向上への打開策として打ち出した政策を、「費用対効果」に重点を置いて見直すのは短絡にすぎる。しかも、削減できる予算は、20億円余りである。

 政権公約で掲げた高校の授業料無償化の予算は、4500億円に上る。所得に関係なく授業料分を一律に助成するのをやめれば、学力テストの削減分は捻出(ねんしゅつ)できる。公約に固執すべきではない。

 学力テストは、都道府県別結果が公表されたことで、下位の沖縄県が上位の秋田県と教員の交流を始めるなど、各地の取り組みが緒に就いたばかりだ。

 全員参加で児童生徒や保護者、学校の学力向上への意識が高まり、それぞれの課題が把握しやすくなる。学校や市町村が結果を公表し、保護者や地域住民と共有すれば、協力も得やすい。

 来年は、07年に小6としてテストに臨んだ子どもが、中3として受ける番だ。どんな勉強によって学力がどう変化したか。予定通り実施すれば、詳しく分析して今後の指導に役立てられるはずだ。

 公立校では参加を望んでも、市町村が参加しないと、受けられない懸念も残る。

 一方、実施科目は現在、国語と算数・数学だけだが、拡大が検討されている。妥当ではないか。

 これまでの議論を踏まえ、国会でも十分審議してもらいたい。

2009年10月18日00時51分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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