HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 16 Oct 2009 02:17:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:よく笑う人には健康な人が多い。健康な人には、また笑顔がよく…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年10月16日

 よく笑う人には健康な人が多い。健康な人には、また笑顔がよく似合う。「笑いとは、張りつめた期待感が瞬時に無に帰す時に生じる感情」(カント)だそうだ。緊張からの一瞬の解放が人の心を癒やすのだろうか▼身近な笑いといえば、手前みそながら新聞のコマ漫画だ。ワーグマンやビゴー研究の第一人者、清水勲さんの近著『四コマ漫画』は江戸時代の北斎漫画から小紙「ちびまる子ちゃん」まで、笑いの変遷を伝えて楽しい▼大正時代、日刊紙に連載が始まったのが近代四コマ漫画の幕開け、という。「正チャンの冒険」「のんきな父さん」。その人気には関東大震災後、荒(すさ)んだ世相が笑いを求めていた背景があった、と清水さんはいう▼米紙ワシントン・ポストのキャサリン・グラハム元社主の自伝には、社の経営権をめぐりライバル社が嫌がらせの切り札に、ディック・トレーシーといった人気漫画を提供していた配信サービスを引き揚げるくだりがある。洋の東西を問わず、漫画が秘める威力を物語るような逸話だ▼数年前、ムハンマドの風刺画が巻き起こした文明論争のように、一枚の絵が時として凄(すさ)まじいまでの政治問題を巻き起こすこともある▼メディアが多様化しても、寸鉄人を刺す新聞漫画の営みは変わらない。笑いが持つ治癒力も小さくない。「一日一笑」。笑顔で始まる一日でありたいと思う。

 

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