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社説2 JAL再建はより透明な形で(10/16)

 日本航空(JAL)の再建問題が一つの節目を迎えた。前原誠司国土交通相が直轄するJAL再生タスクフォース(作業部会)によると、同社は2500億円規模の債務超過に陥り、思い切った再建策が待ったなしの情勢だ。

 作業部会のまとめた再建案では、JAL再生には大型の金融支援が不可欠という。3000億円規模の債務減額を銀行団に要請するほか、年金支給額の半額カットによる年金積み立て不足の圧縮も求めている。

 さらに再建資金として、1500億円規模の出資を含めて最大4800億円の新規資金が必要としている。経営陣への外部人材の登用や大幅な若返りも検討している。

 日航経営陣による従来の再建策に比べると、新しい案は銀行に借金棒引きを迫るなどかなりの踏み込みを見せた。だが、実現には債権者やOB、労組など関係者の合意形成が必要で、企業再建のプロ集団である作業部会の力量が試される局面だ。

 JAL再建については、もう一つ注文がある。再建資金が民間企業などからの出資で調達できるならそれにこしたことはないが、それでは足りず公的資金による資本注入を仰ぐのであれば、再建プロセスをできるだけ透明にする必要がある。

 その場合は当事者間でことを進める私的整理ではなく、衆人環視のもとで再建に取り組む法的整理の手続きを踏むのが妥当である。

 司法の監督下で再建を進めることで、高コスト体質が指摘される人件費や物件費にメスを入れやすくなる。これまでJALの経営を縛ってきた政治家などの影響力排除も期待でき、不採算ローカル路線からの撤退も加速するだろう。

 一つの参考事例は今年春、米連邦破産法の適用を受けたゼネラル・モーターズ(GM)だ。GMの経営危機に関してオバマ大統領の対応が注目されたが、法的整理によってけじめをつけた上で、公的資金の投入で再建を支援する道を選択した。

 JALについては過去10年弱で3度の公的支援を受けたが、いずれも一時的な延命に終わり、抜本的な改革には至らなかった。空の大競争時代が幕開けするなかで、JAL再生に残された時間はそう多くない。

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