HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 14 Oct 2009 21:17:54 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:アフガン支援 現地が望む民生分野で:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

アフガン支援 現地が望む民生分野で

2009年10月14日

 「自分の目で現状を」との強い希望で岡田克也外相がアフガニスタンを訪問した。六時間の滞在でも現地が何を求めているか肌身で感じたはずだ。得意とする民生分野での支援の進め方を考えたい。

 鳩山政権の方針で、アフガンでの対テロ作戦のためにインド洋で行っている海上自衛隊の給油活動は根拠法が期限切れとなる来年一月まで、との見通しが強まった。

 「国際社会で評価されている」との意見もあるが、生活向上につながる民生支援をアフガン国民がより求めているのは間違いない。

 日本は、米英両国に次ぐ二十億ドル(約千八百億円)の援助を実施・表明してきた。五百五十以上の学校を建設・修復し、ケシ栽培に走らぬようなカーペットやジャガイモなどの一村一品運動を広め、警察官八万人の半年分の給与を支援した。非政府組織(NGO)の活動を含め、民生分野で他国にまねのできぬ実績をあげてきた。

 ただ、今の治安状況で支援をどう進めるか。五十メートルごとに治安要員が立つ沿道を防弾車で移動した外相も難しさを実感しただろう。

 大統領選は相次ぐ不正発覚で、二カ月近くたっても当選者が決まらない。旧政権タリバンが勢力を盛り返し、週一回以上襲撃を受ける地域は国土の八割に及ぶ。米軍の今年の死者は約二百三十人と、既に年間の最悪を記録した。

 農業指導していた日本のNGO「ペシャワール会」の男性スタッフが昨年八月に殺害され、現在、日本からは、国際協力機構(JICA)などが派遣した最小限度の約五十人が活動している程度だ。

 しかし、カブール空港ターミナル建設のように、日本人技術者が駐在しなくても国外から現地スタッフと連絡を取り合って完成させた例もある。日本は、元タリバン兵士を社会復帰させる職業訓練や農業支援を柱に考えているが、安全最優先での工夫はできないか。

 六万人以上の兵士を派遣している米国でも「戦う価値がない」という世論が半数を超え、オバマ政権は増派に踏み切るか、戦略の見直しを進めている。国際治安支援部隊(ISAF)に参加する欧州諸国も「犠牲者を出す戦闘部隊でなく、アフガン国軍を訓練する部隊の増派を」などと新たな支援を探っている。

 各国がばらばらに支援を見直すだけでは、泥沼化した今の情勢は変えられまい。可能な分野を提案し合い、一体化した国際支援となるよう調整する必要があろう。

 

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