HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 13 Oct 2009 20:18:01 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:東京都の財政には、余裕があるんだなと驚いた。二〇一六年の夏…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年10月12日

 東京都の財政には、余裕があるんだなと驚いた。二〇一六年の夏季五輪の招致活動費のうち税金分は百億円。石原慎太郎都知事は「財政再建の余剰部分を使っただけで、痛くもかゆくもない」と言い切った▼知事によると、職員の人員整理や歳費削減によって、十年間で総額一兆円超の基金を積み立てた。金利だけで数百億円あるという理屈のようだが、もともとは税金だ。地道に積み上げた資金の使途を「痛くもかゆくもない」のか、評価するのは納税者ではないのか▼二〇年夏季五輪への再立候補に意欲を見せている東京に強力なライバルが名乗りを上げた。共同招致に向けた検討委員会の設置を正式に表明した広島市と長崎市だ▼被爆地では歓迎ムードが広がる一方、降ってわいたような招致の話に困惑もあるようだ。五輪は「一都市開催」の原則があり、東京の再挑戦に期待する声もある▼それでも被爆地での「平和五輪」開催というメッセージが世界に与えるインパクトは大きい。招致活動それ自体が、核廃絶の訴えにつながっていく▼アジアには原爆投下は日本の侵略の報いと考える人々がいる。米国には、多くの米兵の命を救うためという理由が根付いている。こうした国々からの理解など、実際の招致実現には多くの困難が予想されるが、被爆地は核廃絶の「夢」に向かって、意味のある一歩を踏み出した。

 

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