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社説1 日中韓は東アジア共同体を語ったが(10/11)

 北京で開いた日中韓首脳会談は、鳩山由紀夫首相が唱える東アジア共同体構想を「長期的な目標」とすることで合意した。経済、安全保障、環境、エネルギー、文化などで幅広く協力する共同声明も発表した。

 格調の高い言葉が並ぶ割に、中身の乏しさは否めない。世界金融危機のさなかの昨年12月の会談では、外貨資金繰りに困った韓国を助けることで日中が合意した。今回はいかにも抽象的な合意にとどまった。

 例えば、人民元について何を話したのか。このところ経常収支など対外不均衡の是正に焦点が当たるなか、ドルは下落基調にある。一方、中国は国内の輸出企業に配慮して昨年夏以降、人民元を事実上のドル連動に戻した。ドルと共に人民元の相場が下がる結果、中国以外のアジア諸国の輸出競争力は低下している。

 競争力低下で貿易収支が悪化した韓国は、巨額のドル買い介入を余儀なくされている。今回の会談は通貨問題を素通りした。日韓が中国を生産拠点にしているという事情はあろうが、基本的な経済問題に関して腹を割って話し合えないようでは、まだ本物の友好関係とは言えまい。日中韓の名目国内総生産は合計で世界の2割弱。世界経済が直面する課題への取り組みは不十分だ。

 焦点となったのは北朝鮮の核問題だ。直前に訪朝した中国の温家宝首相は、金正日総書記が「日韓と関係を改善したいと述べた」と明らかにし、6カ国協議の再開機運を盛り上げた。北の核放棄では前進はみられない。中国のエネルギー支援が北の独裁体制を支えている。中国は本気なら一層の努力をすべきだ。

 12月にコペンハーゲンで開く気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に関しては「成功へ緊密に協力する」と打ち出した。中国はいまや世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国。責任は重大だ。日韓は中国への技術支援をテコに、対応強化を求めるべきだろう。

 「今まで、ややもすると米国に依存し過ぎていた」。鳩山首相は会談の冒頭でこう述べ、アジア重視の考えを示した。日中韓が「東アジア共同体構想の核」と言明した。

 日本が中韓と手を携えて地域共同体を目指す意味は大きいが、米国をどう位置づけるかの難問が残る。日韓、日中の間には未解決の領土問題がある。特に中国は海軍力を軸に軍備を急ピッチで増強している。

 日本の安全保障には米国との同盟が決定的に重要だ。対米関係を一段と強固にする姿勢がなければ、対アジア自主外交もおぼつかない。

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