HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 12 Oct 2009 22:18:00 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日中韓首脳会談 共同体を語れる信頼を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日中韓首脳会談 共同体を語れる信頼を

2009年10月11日

 日中韓首脳会談が「東アジア共同体」を目指す共同声明を採択した。その中身はまだ不明確だ。北朝鮮の核や環境問題などで協力の成果を上げることなしには、共同体を語れる信頼は生まれない。

 三カ国首脳会談の十周年声明は鳩山由紀夫首相が推進する「東アジア共同体」構想の具体化に引き続き協力することを確認した。

 日中韓首脳会談は一九九九年、マニラで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓三カ国の首脳会議の期間中、日本の呼び掛けで非公式朝食会として始まった。

 当初、北朝鮮への配慮から消極的だった中国も、その後、自由貿易圏形成に積極的になった。ASEANと日中韓十三カ国の共同体創成を呼び掛けるようになる。

 中国に主導権を奪われるのを嫌った日本は民主国家のインド、オーストラリア、ニュージーランド三カ国を加え十六カ国で共同体機能を充実させるよう提唱した。

 二〇〇五年からは十六カ国で東アジア首脳会議が始まったが、日中の主導権争いが激化し共同体論議は、かえってしぼんだ。

 鳩山首相は、この構想を再び持ち出したが中身は相変わらず、はっきりしない。首相は共同体構想について「核となるのは三カ国だ」と述べ、日中韓を中心に考えていることを明らかにした。

 一方、岡田克也外相は記者会見で十六カ国による共同体の創成を提唱し米国を加えないと述べた。しかし、外務省高官は米国の排除を明言しないなど、政府内でも共同体の定義は一致していない。

 東アジアの地域協力強化には賛成するが、政府の見解統一もないまま外国に「共同体」構想を提案しても不信を買う恐れがある。

 日中韓の間には歴史問題や領土・領海や海洋権益などで根深い相互不信がある。今回の首脳会談で協調を確認した北朝鮮の核問題でも、中国が北朝鮮の体制を支えていることに日韓の不信は強い。

 政治体制や価値観の違いも大きく日中韓は共同体を語る前提を欠いているのが現実だ。しかし、経済や金融では相互依存を深め、環境や資源、核拡散問題でも「運命共同体」になってきた。

 これらの分野の協力で成果を上げ相互不信を解消していくことによって、初めて現実の検討課題として共同体を語る条件が生まれるのではないか。そのためには、まず日本政府が見解を統一し、現実的な戦略を考えることが出発点になることは言うまでもない。

 

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