HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 11 Oct 2009 22:18:00 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:『横浜開国博』後 不評の責任はどうなる:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

『横浜開国博』後 不評の責任はどうなる

2009年10月11日

 横浜市内で開かれたイベント「開国博Y150」は有料入場者数が目標に遠く及ばず、事業決算は大幅赤字になる可能性がある。ぶち上げた市長は閉幕前に辞職した。あまりに無責任ではないか。

 「Y150」は横浜の開港百五十周年記念として四月下旬から九月までの約五カ月間、横浜市内の三カ所で開催された。財団法人「横浜開港百五十周年協会」が運営し、総事業費約百五十億円という博覧会イベントだった。

 この事業費の内訳は、入場料収入四十五億円、企業協賛金二十億円、横浜市からの補助金八十二億円を見込んでいたという。

 ところが、有料入場者数は約百二十四万人と、目標に設定した五百万人の四分の一にとどまった。このため、入場料不足で約二十億円の赤字になる見込みという。

 「不入り」だったのは内容のお粗末さに原因があるようだ。

 見せ物が多くないのに、目玉とした機械仕掛けの巨大グモや直径約二十メートルの「アースバルーン」は会場の外から丸見えだった。

 アニメ映画は、再入場者を狙ってか、三章を期間で分けて上映したため、一回の視聴では筋がよく分からない仕立てになった。

 各地にテーマパークがあり、観客はイベントを見慣れている。大人の入場料二千四百円に「高い」と不平が出たのは当然だろう。不評は口コミやインターネットで伝わり、足を運ぶのを見合わせた人も多かったのではないか。

 税金が使われた以上、経済効果があったとか、横浜をPRできただけでは済まされない。有料入場者数や収支は評価の物差しであり「失敗」と言わざるを得ない。

 五百万人は中田宏市長時代の二〇〇六年に掲げられた目標だ。中田氏は「財政再建に一定のめどがついた」などとの理由を挙げて二期目の任期途中、Y150開催中の八月に辞職した。

 辞職は目標達成が不可能と分かった時期であり、辞めるなら事業の総括後にすべきだった。中田氏は市議会の参考人招致に応じていない。無責任な前市長だ。

 Y150は二十一世紀に行う開港百五十周年行事にふさわしい内容だったのか。巨大グモは、クモの巣(Web)からネットワーク社会を象徴したというが、目玉にした意味が理解できない。訪れた人は業者に丸投げしたイベントだったと受け止めただろう。

 新市長は事業を検証し、責任の所在を明確にしてほしい。

 

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