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社説2 虚偽献金の説明は不十分だ(10/10)

 鳩山由紀夫首相の資金管理団体の収支報告書に多くの虚偽記載が見つかった問題をめぐり、東京地検が捜査を本格化した。6月末の記者会見で架空献金の存在を認めて謝罪した後も様々な疑問点が指摘されている。首相は捜査の進展を待たずに、自ら説明責任を果たすべきだ。

 首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」。総務相に提出した2005〜08年の4年間の収支報告書には、首相が公表しただけでも約90人分、総額2177万円の架空の個人献金があった。事実に反するとして削除した中には、故人や献金を一度もしていない人の名義も含まれていた。

 東京地検特捜部は、名義を勝手に使われた人から参考人聴取を始めた。この問題では市民団体が政治資金規正法違反容疑で首相や秘書ら3人を告発している。捜査まで時間がかかったのは、衆院解散と総選挙を考慮したためとみられる。

 首相は6月の記者会見で虚偽記載は実務担当だった公設秘書の「独断」と強調し、この秘書を解任した。架空献金の元手は、預けていた自らの資金だと主張した。説明にはまだ不十分な点がいくつもある。

 首相の弁護団は、修正した05〜08年以前にも虚偽記載があった可能性を否定しなかった。個人名を記載する必要がない年間5万円以下の献金が突出して多い点も不自然だ。不正をにおわせる。最初の説明から3カ月以上たつ。にもかかわらず、内部調査に基づく新事実の公表はない。

 首相は秘書の動機に関して「企業献金が集まらない焦り」との見方を示した。不正が起きた背景をもっと詳しく説明しないと納得しにくい。献金に偽装された資金の出もとや寄付金控除を使った脱税と結びついていないかも、明らかにすべきだ。

 自民党は今月中に召集予定の臨時国会で、首相の虚偽献金問題などを徹底追及する構えだ。政府は会期を1カ月程度に限る方向だ。疑惑から逃げている。そんな印象を与えれば、国民の政治不信を増幅する。

 首相は献金問題について、「捜査に影響がある」として言及を避ける。よもや捜査を理由に口を閉ざすのではあるまい。このままなら、政治資金収支報告書が果たす制度の趣旨にさらに背を向けることになる。

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