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10月9日付 編集手帳

 詩人の(すすき)()泣菫(きゅうきん)はフランスの日刊紙「フィガロ」に風変わりな広告を見つけた。「飼っているオウムの発音が悪いので、正確なフランス語の話せる人を家庭教師に雇いたい」。大正年間のことである◆鳥の言葉にさえ敏感なお国柄を(たた)えたあと、詩人は随筆を辛口の一文で結んでいる。〈多くの代議士に(いぬ)のような日本語で喋舌(しゃべ)らしておいて、黙ってそれを聴く事の出来る日本人の無神経さがつくづくいやになる〉と◆岩波文庫「茶話」の一節だが、泣菫が今の世にあれば筆勢を緩めただろう。好き嫌いは別にして、鳩山首相はこの上なく丁寧な言葉遣いで知られる◆その丁寧な人が自身の献金疑惑では情理を尽くして語らないのはなぜだろう。東京地検は捜査に着手したが、首相は口をつぐんでいる。「疑惑はこうしてぬぐえ」と説明の手本を示すことで政権交代の意義を訴えることもできように、不可解である◆詩人が“狗のような”と形容した乱暴な物言いの政治家が当節、見当たらないのはありがたい限りだが、代わりに「セツメイズミ、セツメイズミ…」と繰り返す“オウムのような”首相が現れても困る。

2009年10月9日01時11分  読売新聞)
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