HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 08 Oct 2009 22:18:02 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:JAL救済 強力な経営体制確立を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

JAL救済 強力な経営体制確立を

2009年10月8日

 鳩山内閣が日本航空(JAL)の本格救済に乗り出した。同社の努力だけでは国内外に広がる信用不安の解消は難しいとの判断による。政府主導はやむを得ないが強力な経営体制の確立が急務だ。

 前原誠司国土交通相も一時、慌てた。先月末、英、豪の金融機関が日航の航空券を取引停止扱いしたことが表面化。同相は緊急会見して「自主再建は十分に可能。万が一の場合は政府として支援する」と、公的支援も辞さずとの決意を述べた。

 日航の経営危機は海外だけでなく、国内でも極めて重い政策課題だ。鳩山由紀夫首相は就任直後、同社を新しいスキーム(枠組み)で再建させる方針を表明。前原国交相は先月下旬「JAL再生タスクフォース」を設置して新計画を策定することを決めた。今月内に骨子をまとめる予定だ。

 前政権下で日航がまとめた再建計画は(1)グループ全体で社員六千八百人を削減する(2)不採算の国内二十九、国際二十一路線を廃止(3)企業年金給付を大幅削減(4)米大手デルタ航空、アメリカン航空などとの提携で数百億円の出資受け入れ−などが柱となっている。

 同計画の見直しを進めている再生チームは、リーダーの高木新二郎氏はじめ五人中四人が旧産業再生機構の出身。財務内容のチェックや事業構造の分析、そして将来の発展戦略などを検討しているもよう。新計画は日航が真に自立した企業となるよう将来像を描く。なによりも安全運航を徹底する強力な経営体制の構築が重要だ。

 もっとも再生チームの結論が「法的整理」となる可能性もある。米政府が大手自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)を救済した手法が参考となる。これはGMに破産法を申請させ労組などと退職者年金問題などを解決して再建する方法だ。その場合、多額の公的資金が必要となる。

 再建計画の策定とともに政府は環境整備も急がねばならない。

 全国に九十七もの空港を造り、航空会社に不採算路線の運航を強いてきた社会資本整備事業特別会計空港整備勘定(旧空港整備特別会計)は速やかに廃止する。利用客や航空会社の負担を大幅に軽減することが急務である。

 さらに世界で進行中の航空自由化(オープンスカイ)の下、航空会社の成長戦略も描く。国際線の自由な路線開設は利用客のメリットも大きい。来年、成田・羽田両空港の発着容量が増加する。それを機に自由化を推進すべきだ。

 

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