HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 08 Oct 2009 22:17:58 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:地方分権 政治主導で加速せよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

地方分権 政治主導で加速せよ

2009年10月8日

 鳩山内閣が地方分権の推進に向けて動き始めた。地方分権は官僚機構と結び付いた自民党政権時代には遅々として進んでいない。政権交代という好機を生かし、政治主導で分権を加速すべきだ。

 政府の地方分権改革推進委員会がまとめた第三次勧告は、国が法律や政省令で地方自治体の仕事や基準を全国一律で規定している「義務付け」のうち、八百九十二項目について廃止や緩和などの見直しを求めている。

 例えば、児童福祉法に基づいて保育所の屋外遊び場は一人当たり三・三平方メートル以上とされているが、勧告通りに義務付けがなくなれば、都心でも保育所がつくりやすくなり、待機児童解消に役立つ。

 義務付けの存在で、各自治体が住民ニーズや地域事情に応じた施策を行えないことが多々あった。その見直しは全国知事会など地方側が強く求めていたものであり、勧告内容自体は妥当といえる。

 問題は、まずスピードだ。

 政府は分権委の勧告を踏まえて二〇一〇年三月末までに「地方分権改革推進計画」を策定し、法整備することが定められている。

 一方、原口一博総務相は記者会見で「今まで本当に分権が進んでいない。こんなスピードでやるわけにいかない。第三次勧告についても、国会で一つでも二つでも形にしていきたい」と語った。

 この勧告には民主党がマニフェスト(政権公約)に明記した「国と地方との協議の場」を法律で設置することも盛り込まれている。

 今すぐ着手できるものについては来年の通常国会を待たず、今月下旬に召集予定の臨時国会に関連法案を提出し、新政権の分権に懸ける意気込みを示してほしい。

 また、分権委のこれまでの勧告には、官僚の抵抗で骨抜きにされたものもある。国の出先機関については事務・権限の廃止や地方への移譲を求めていたが、国土交通省地方整備局や農林水産省地方農政局などは温存される内容だ。

 民主党は国の出先機関の原則廃止を打ち出している。自民党政権時代に出した勧告がブレーキになれば本末転倒であり、鳩山内閣は官僚の抵抗にひるまず、分権推進の姿勢を貫くべきだ。

 平野博文官房長官は、分権委など自民党政権時代につくられた政府組織を「いったんリセット」する考えを示している。政権交代を機に、これまでの勧告についても見直し、新たな視点で地方分権について議論し直すのも一手だ。

 

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