HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58293 Content-Type: text/html ETag: "21b068-15a5-5ebd9c0" Expires: Tue, 06 Oct 2009 01:21:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 06 Oct 2009 01:21:08 GMT Connection: close 国外濃縮合意 イランは速やかに履行せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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国外濃縮合意 イランは速やかに履行せよ(10月6日付・読売社説)

 国連安全保障理事会常任理事国(米、露、英、仏、中)にドイツを加えた6か国とイランは、イラン国内で生産された低濃縮ウランを、国外で核兵器に転用しにくい形にして戻す計画に合意した。

 ロシアが濃縮度を高め、フランスが燃料化を引き受ける。

 米紙の報道では、その量は、イランが国際原子力機関(IAEA)に申告済みの低濃縮ウランの75%にあたるという。確かに、実現すれば、核の軍事転用に歯止めをかける有効な手段になろう。

 だが、手放しでは喜べない。これまで、イランの妥協が時間稼ぎに過ぎなかった例を、何度も目にしてきたからだ。合意がイランの濃縮活動をなし崩し的に認める契機になる、との不安も残る。

 イランは、先月に発覚した第2の濃縮施設の査察にも合意した。IAEAによる査察は今月25日に実施される。まずは、その成否が注目される。

 国際社会が求める「ウラン濃縮停止」に耳を貸さなかったイランが、妥協的な姿勢を見せた背景には、オバマ米政権の強硬姿勢がある。産油国ながら、精製能力が不足するイランへのガソリン禁輸など、経済制裁強化の圧力だ。

 イランでは今年6月の大統領選の結果に対し、国民が今も不満を募らせており、制裁強化は政情不安を招きかねない。

 制裁に消極的だったロシアが米国と歩調を合わせ始め、イランは事態の深刻さを悟ったのだろう。米露協調は、オバマ政権が東欧へのミサイル防衛(MD)配備を事実上撤回した成果といえる。

 国際社会で孤立したイランは今こそ、政策転換の意思表示をすべきだ。速やかな合意の履行はその証左となろう。

 それでも課題は残る。イラン国内の低濃縮ウランすべてを、どうやって国外に出させるか。そして、イラン国内での低濃縮ウラン製造を引き続き認めるのかどうか。

 イランは2003年、IAEAが未申告の核施設を含めて全土で抜き打ち査察を実施できる「追加議定書」に署名した。だが、批准はしていない。

 国際社会がイランに対し、濃縮停止から容認へと転換するのであれば、イランによる議定書の批准が最低条件となる。

 「核の番人」と呼ばれるIAEAのトップにはこの12月、天野之弥氏が就任する。唯一の被爆国として、日本はこれまで以上に粘り強く、イランの説得を続けるべきだろう。

2009年10月6日00時46分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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