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社説2 地方の財政規律高める一歩に(10/6)

 財政が破綻した北海道夕張市の事例などを教訓に、全国の自治体に財政健全化を促す新制度が本格的に始動した。地方財政健全化法に基づく早期是正措置の導入である。

 学校の統廃合や増税など夕張市は今、再建に苦しんでいる。炭鉱閉山や観光開発の失敗が破綻の引き金だったが、地方財政を監視する仕組みの不備が傷口を広げた。自治体本体(普通会計など)だけが対象だったので、夕張は他会計と資金をやり繰りして本体の赤字を隠してきた。

 そこで設けたのが新制度だ。病院、下水道などの公営企業や第三セクターも含む連結決算を対象に加え、債務残高の割合にも網を広げた。

 指標が一定水準よりも悪くなると国が「早期健全化団体」に指定し、自主再建を義務付ける。それでも悪化が続けば「財政再生団体」になって国の管理下に入る仕組みだ。

 2008年度決算を対象に総務省がまとめた結果をみると、大阪府泉佐野市、北海道歌志内市など21市町村が破綻手前の健全化団体になった。再生団体は夕張市だけだった。こうした自治体は財政を立て直す計画をつくり、外部監査も受ける。

 本格施行前の07年度決算の段階では基準より悪かった市町村は43あった。各自治体がその後、行政サービス見直しや歳出削減に努めた結果、1年間で半減した。新制度は一定の効果をあげたといえるだろう。

 総務省は制度をつくる過程で、公立病院の赤字を埋める特別な地方債を認め、初期投資が膨らむ交通事業などで赤字額の一部を控除するなど特例措置を設けた。過疎地では公立病院が地域医療の中核を担っており、やむを得ない面はある。しかし、その分基準は緩くなっただけに今後は特例を増やすべきではない。

 今回基準に抵触した市町村は当然だが、他の自治体も結果をわかりやすく議会や住民に説明する必要がある。財政の透明性を高めて、無駄な事業や効果が低い施策はないのか不断に見直すことが欠かせない。

 住民の責任も問われる。夕張の破綻時のように「財政状況など知らなかった」ではもう済まされない。

 地方分権が進めば自治体の仕事はますます増える。新制度を地方財政の規律向上に生かしたい。

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