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社説2 南米から地デジ海外普及を(10/5)

 南米で日本方式の地上デジタル放送を採用する動きが広がっている。放送のような技術規格を巡り、日本方式が海外で広く採用されるのは初めてのことだ。地デジには携帯端末向けのワンセグ放送の機能もある。日本の放送機器や携帯端末の販路が海外に広がることを期待したい。

 日本方式を採用するのは2年前から放送を始めたブラジルのほか、ペルー、チリ、アルゼンチンの計4カ国。南米の人口は4億人近いが、4カ国でその7割以上を占める。さらにベネズエラも近く正式に採用を決める見通しだ。

 デジタル放送には日本方式に加え、欧州、米国、中国の4方式がある。日本は放送のデジタル化で欧米より5年遅れたが、その分、技術的に優れた面が多い。放送波の一部を使って携帯端末に放送するワンセグ放送も日本方式にしかない特徴だ。

 ペルーなど3カ国が新たに日本方式に加わったのはブラジルでの実績が評価されたためだ。山間部の多い南米ではノイズに強い日本方式が有利となる。携帯端末でも受信できれば新たな情報伝達基盤として活用できると各政府は判断した。

 地デジが南米に広がると、日本の通信・放送機器メーカーにも新たな販路となる。日本のワンセグ対応端末はコストが高く、海外では売れていないが、そうした状況を改善するきっかけにもなるに違いない。

 総務省は日本方式を南米に広めるため、9月下旬にペルーで放送分野の閣僚会議を開催、原口一博総務相も出席した。南米ではコロンビアとウルグアイが欧州方式の採用を表明しているが、他の国とともに日本方式を働きかけていく考えだ。

 欧州ではドイツなどデジタル化を終えた国もある。アジアでは韓国と中国以外は欧州方式の採用を表明している国が多い。ただフィリピンは日本方式に関心を示しており、南米での展開は他のアジア諸国に翻意を促す説得材料にもなるだろう。

 日本は携帯電話で世界標準を提案したものの十分に受け入れられず、国際競争力の低下を招いた。地デジの海外普及は日本メーカーの海外進出を促すことになるだけに、新政権には政府間協議やセミナー開催などの全面的な後押しを望みたい。

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