HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 03 Oct 2009 21:17:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:イラン核 平和利用を証明せよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

イラン核 平和利用を証明せよ

2009年10月3日

 イランの核問題が動きだした。イランはひそかに建設していた核施設について査察を受けるとし、ウラン濃縮でも一定の譲歩を示した。軍事転用を阻止するため国際社会はさらに監視を強めたい。

 イランは中部コム近郊に建設中のウラン濃縮施設について、国際原子力機関(IAEA)の査察を数週間以内に受けると表明した。

 ジュネーブで開かれた、国連安保理五常任理事国にドイツを加えた六カ国とイランとの協議で明らかにした。六カ国との協議を月内に再度行うことでも合意した。

 追加制裁も検討した欧米との対立はいったん回避され、オバマ米大統領は協議の結果を「建設的な始まり」と評価した。

 イランの軟化は、米国、英国、フランスがガソリン禁輸も含む新たな制裁案をちらつかせたのと、ロシアも欧米諸国に接近して圧力を強めたからだ。イラン国内では大統領選をめぐる混乱が尾を引き、指導部は外国との対立激化を避けようとしたようだ。

 注目されるのは、イランが低濃縮ウランの一部を第三国に搬送して加工処理を委託する構想に同意したことだ。搬送先はロシアが有力視されている。

 イランが国内でウランの高濃縮化に成功すれば核爆弾が製造できると各国は警戒しているだけに、国外への搬出措置は一定の信頼醸成につながる。

 だがウラン濃縮活動自体を断念したわけではない。「核開発は平和利用のためだ」と主張し、既存の中部ナタンツの核施設を稼働させている。

 イランには平和利用だと主張する根拠を証明する義務がある。建設中のコムの核施設について隠ぺい工作をせず、IAEAの査察に全面的に協力し、ウラン濃縮の進ちょく状況など核計画の開示が必要だ。

 欧米諸国はイランには非公開の核施設が存在するとみている。先月末には、中、短距離ミサイルの発射実験を続け軍拡路線を追求していると印象づけた。北朝鮮との軍事協力がいまも続いているとの見方もある。イランが対話を「時間稼ぎ」に使い核開発をひそかに進めた場合は、各国は追加制裁も含む強い対応で臨むべきだ。

 国連安保理は先月、オバマ米政権の提案を受けて「核兵器なき世界」の実現を目指す決議を採択した。国際社会が核軍縮、不拡散を前進させられるか、イランへの対応が試金石となる。

 

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