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天声人語

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2009年10月4日(日)付

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 昔あった大学入試の合否電報ふうに言えば、「人魚姫ほほえまず」といったところか。デンマークでの国際オリンピック委員会総会で、東京は2016年の開催地に落選した。ほほえみを得たリオデジャネイロは南米初の開催になる▼残念な人も多いだろうが、祝福したい結果である。「五輪の歴史に新しい大陸を仲間入りさせてほしい」とブラジルのルラ大統領は語っていた。ちょうど50年前、「アジア初」を訴えて開催を勝ち得た日本の姿に、その言葉は重なっていく▼あのとき日本は、「五輪という花を初めて東洋にも咲かせて、五つの輪を完璧(かんぺき)なものに近づけてほしい」と支持を広げた。五輪の理念と響き合う訴えには、やはり力がある。決選の投票ではリオが圧勝し、さらに一歩「完璧」に近づいたといえる▼ブラジルは2014年にサッカーのW杯も開く。すぐあとの五輪開催は、盆と正月が立て続けに来るようなものだ。胃もたれしないか心配になるが、そこはお祭り好きの国。大いに張り切り、楽しむだろうと知人のブラジル通は見る▼かつてリオを旅した三島由紀夫は名高いカーニバルに圧倒された。「ホテルの窓を閉めたって、眠れるどころではない」「日本人は、腰を抜かす他はない」と、リオっ子の気質と熱気に脱帽している。人々が「祭り疲れ」する心配はないようである▼日本からの移民が多く縁浅からぬ国である。もろもろの課題を克服して、五輪の新天地でどんな大会を見せてくれるのか。サンバのリズムなど思い出しながら、はや興味は尽きない。

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