HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58232 Content-Type: text/html ETag: "ad663-15f9-b16cbe00" Expires: Fri, 02 Oct 2009 02:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 02 Oct 2009 02:21:10 GMT Connection: close 日銀短観 改善に水を差す円高が心配だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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日銀短観 改善に水を差す円高が心配だ(10月2日付・読売社説)

 企業の景況感は上向いたとはいえ、深い谷底から少し上がっただけだ。景気が腰折れしないように、政策支援の手を緩めてはならない。

 日銀が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景気認識を示す業況判断指数が、大企業の製造業でマイナス33と、前回の6月調査より15ポイント改善した。2期連続のことで、改善幅は6月調査より5ポイント拡大した。

 アジアなど海外経済の回復による輸出増加が追い風となった。

 ただし、指数自体は大幅なマイナスで、企業心理は冷え込んでいる。このため、景気が今後、着実に回復するか予断を許さない。

 まず、円高が心配だ。9月上旬までに7〜8割の企業が回答を終えていたため、その時点で企業側が想定した今年度の円相場は、平均1ドル=94円50銭と、現在よりも5円ほど円安だった。

 自動車や電機など、円高が輸出に打撃となる主力産業では、実際の景気認識は短観の数字より、かなり悪化しているだろう。雇用や設備の過剰感は強く、今年度の製造業の設備投資計画は、過去最大の落ち込みを示している。

 経済実態は短観より悪いのではないか。そんな疑念から、1日の東京市場で、平均株価の終値が約2か月ぶりに1万円を割った。

 景気を冷やす円高が一気に加速するようなら、円高阻止のための市場介入も必要となろう。

 非製造業の回復の鈍さも気がかりだ。大企業・非製造業の業況指数の改善幅は5ポイントと、製造業の3分の1にとどまった。非製造業は小売りやサービスなど内需関連が多く、内需の弱さは否めない。

 エコカー減税などの消費拡大策も息切れが懸念される。補正予算の組み替えで公共事業を削れば、建設業などに悪影響が出よう。緊縮政策は避けねばならない。

 中小企業の指数は、製造業、非製造業とも改善に転じたが、底ばいに近い。非製造業は次回調査で悪化に逆戻りする見込みだ。

 サラリーマンの4分の3が働く中小企業が元気にならないと、雇用も消費も、本格回復はおぼつかない。特に、中小企業の資金繰りは、1990年代後半の金融不況に匹敵するほど厳しい。

 亀井金融相の言う返済猶予制度(モラトリアム)では、金融機関が融資に尻込みして、かえって貸し渋りが増える恐れもある。

 焦げ付いた返済を公的資金で肩代わりする「緊急保証制度」の拡充など、効果的な金融支援の追加策を急ぐべきだ。

2009年10月2日00時56分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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