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10月2日付 編集手帳

 ロシアのピョートル1世は好奇心が旺盛で、造船や印刷などの技術を習得し、“職人皇帝”と呼ばれた。歯科医療にも関心が高く、廷臣の歯を麻酔なしで抜くのを趣味にしたとも伝えられる◆「おれが治してみせる」という善意と意欲の表れとはいえ、ありがた迷惑だった人も多かろう。亀井静香金融相の唱える返済猶予制度(モラトリアム)構想に、金融界はおろか、ほかの閣僚までもが困惑している様子と、ちょっと似たところがある◆「貸し渋り」に泣く中小企業や、住宅ローンに苦しむ個人に、借金の返済を3年ほど猶予する方向という◆意図は分からぬでもないが、民間同士の契約に国があとから口を挟み、契約の内容が変更されるとすれば、金融機関は新たな貸し出しに用心深くなる。かえって貸し渋りを助長することにもなろう。ひとつ間違えば、経済の全身を循環する血液(資金)の流れをせき止めかねず、治療が命取りになる恐れもある◆蘭方(らんぽう)医の杉田玄白が残した七か条の養生訓に〈事なき時、薬を服すべからず〉とある。毒物すれすれの劇薬を処方すべき時かどうか、判断は慎重であっていい。

2009年10月2日01時10分  読売新聞)
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