HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 01 Oct 2009 21:17:22 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:1票の格差 国会は抜本策を早急に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

1票の格差 国会は抜本策を早急に

2009年10月1日

 小手先の見直しでは、もう済まない。参院選での「一票の格差」を最高裁は合憲と判断したものの、同時に現行制度の改革の付言もした。国会は厳粛に受け止め、早急に抜本是正に乗り出せ。

 百年河清を俟(ま)つ…、望んでも実現の見込みがないたとえの言葉が、頭に浮かびそうだ。いっこうに抜本是正を進めぬ国会と、現状の追認に陥っている最高裁の両方についてである。

 二〇〇七年の参院選挙での「一票の格差」をめぐる訴訟で、最高裁大法廷はまたも「合憲」の判断をした。国会が〇六年に「四増四減」の配分是正をしたものの、この選挙では議員一人あたりの有権者の格差は四・八六倍あった。

 合憲の論理はこうだ。〇六年の大法廷判決で「格差縮小の検討継続」という“宿題”が投げかけられていたが、相応の時間が必要だ。この選挙までに見直すのは困難で、改正しなかったことも国会の裁量内だ…。

 一方で、最高裁はこの格差を「大きな不平等が存在する状態」とも指摘している。まるで「憲法の番人」が違憲判断を回避している及び腰の印象だ。

 一九九二年の選挙で生まれた六・五九倍の数字を「違憲状態」とした以外は、最高裁は一貫して「合憲」を繰り返している。定数配分の技術的困難を考慮しても、五倍近い格差は開きすぎというべきで、一票の価値に極端な格差が許されていいはずはない。

 今回の判決でも五人が反対意見を述べた。うち一人は「国会の審議に進展も、真摯(しんし)な努力の形跡も見受けられない」と批判した。要するに国会が怠慢だということだ。「端的に主文で違憲を認めてよい」と述べたほどだ。

 多数意見の中でも、定数配分の是正だけでは格差縮小は困難としたうえで、「現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる」と踏み込んだ。つまり、もはや選挙区ごとの定数をいじる小手先の改革では、限界だと指摘されたに等しい。

 「一票の平等」は民主主義の根幹である。今、求められているのは、参院の在り方を議論し、ダイナミックな改革をすることだ。都道府県の枠からもっと広いブロック制にしたり、すべての議席を比例代表にすることなども一案に考えられよう。改革は待ったなしといえる。政治が問題を放置するならば、最高裁も躊躇(ちゅうちょ)なく「違憲」判決を突きつけるべきだ。

 

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