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中国建国60年 膨張主義からの脱却が必要だ(10月1日付・読売社説)

 中国は1日、建国60周年を迎えた。

 共産党の一党支配のもと、約30年前に市場経済を大胆に導入し、米国、日本に続く世界第3位の経済大国に成長した。

 日本を追い抜くのも時間の問題と見られている。

 その一方で、体制崩壊につながりかねない民主化への動きを力で抑えつけるなど、「民主化なき市場経済」とも言える独自路線を歩んでいる。

 昨年夏は北京五輪を成功させた。来年5月からは、上海万博を開催するなど、国際的な存在感を急速に高めている。

 だが、その足元はどうか。

 経済至上主義の高度成長は、国民の生活を豊かにしたが、同時に貧富の格差を拡大させ、農村の貧困ぶりが際立つ。

 都市や農村で土地収用を巡る紛争が多発し、労働争議なども頻発している。党官僚や役人の腐敗・汚職は、とどまるところを知らない。各地の環境破壊も深刻な状態に陥っている。

 社会にひずみが生じる中で、人々に拝金主義が蔓延(まんえん)し、モラルの荒廃が指摘されている。

 新疆ウイグル自治区では、ウイグル族と漢族の対立が先鋭化し、事態は深刻化するばかりだ。亡命チベット人と中国政府との話し合いは膠着(こうちゃく)状態にある。

 経済開発と強圧的手段のアメとムチの政策だけでなく、少数民族の宗教、文化や人権を、もっと尊重する姿勢が大事だ。そうしなければ、政権が掲げている「調和社会」は実現しないだろう。

 国威発揚に向け、祝賀式典と軍事パレードが行われる首都・北京では、テロ警戒のため、大量の軍治安部隊が動員され、空前の厳戒態勢が敷かれているという。

 中国は「平和的発展」を掲げつつ、軍事力の増強を推し進めてきた。国防予算の透明性を高め、周辺国・地域の懸念を取り除くよう努めるべきだ。

 アフリカや南米諸国における中国のなりふり構わぬ資源獲得外交に対する国際社会の非難にも、対応していかねばならない。

 中国は世界最大の二酸化炭素排出国でもある。地球温暖化防止への国際的取り組みでは、具体的な数値を伴った削減義務を負うことが求められる。

 (よわい)六旬の社会主義・中国。論語の「耳(したが)う(人の話を聞き、その気持ちまで分かる)」の言葉通り、世界の声に耳を澄ませ、膨張主義を脱却して、大国としての責任を果たす時だ。

2009年10月1日01時02分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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