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社説2 参院定数は枠組みから正せ(10/1)

 2007年7月に行った参院選は、選挙区ごとのいわゆる1票の格差が最大4.86倍あった。それでも、法の下の平等を定めた憲法に違反はしない、との判決を最高裁大法廷が出した。

 格差が最大5.13倍だった04年参院選の定数訴訟でも大法廷は合憲と判断していたから、予想された結論ではある。しかし15裁判官中10人が賛同した法廷意見は、前回の法廷意見に比べ、より強い調子で定数配分の抜本的是正を求めている。

 例えば、各都道府県を選挙区として偶数の定数を割り振る現行制度の枠組みについて、前回判決では「見直しをも含め、検討を継続することが、憲法の趣旨にそう」だったのが、今回は、格差を大幅に縮小するには「見直しが必要となることは否定できない」と断言し、「国会において、速やかに、検討が行われることが望まれる」と結んでいる。

 現行の定数配分を違憲とした中川了滋裁判官が指摘するように「憲法は二院制と3年ごとの半数改選を定めているにすぎず」、格差を縮めるのを難しくする、都道府県単位の選挙区割りと、選挙区ごとに偶数の定数を配分する方式は、どちらも憲法を根拠にしてはいない。だから、憲法が要請する1票の価値の平等を図る妨げになるなら、正さなければならない枠組みなのである。

 参院選の現状を見れば、各政党が議席獲得を競っており、衆院選と異なる特色は見いだし難い。また参院議員の政治活動が政党の統制のもとにあるのは自明で、07年参院選以後の「ねじれ国会」、そして今回の衆院選で大勝した民主党が、参院の過半数を確保するために、社民党、国民新党と連立を組まざるを得ないのも、そのためだ。

 もはや参院が衆院と違う独自性を盾にして1票の価値の格差を放置するのは許されない。合憲の結論に賛成した藤田宙靖裁判官は補足意見で次のように言っている。「いたずらに現状をひきずるようならば、立法府自らの手による議員定数是正措置に向けての残された期待と信頼とがついに消失してしまう」

 民主党はマニフェストで掲げた「参院選挙制度の抜本改革」を実行しなければならない。

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