HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 29 Sep 2009 23:18:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:メルケル勝利 見たい新ドイツモデル:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

メルケル勝利 見たい新ドイツモデル

2009年9月30日

 ドイツ総選挙で、メルケル首相主導の保守中道勢力が勝利し、大連立が解消される。冷戦終結後二十年。国際社会の大変革期の中で、地域統合と軌を一にした新しいドイツモデルを示してほしい。

 今回の総選挙を通し、有権者は、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)に過半数の議席を与えた。政権の「保守回帰」を選択したかたちだ。

 しかし、各政党の得票結果を見るとそう単純に割り切れない要素もある。同盟と社会民主党(SPD)の二大政党とも得票率を減らしているからだ。社民党は前回より10ポイント以上減の惨敗で、同盟もメルケル首相の個人的人気に支えられながらも微減している。

 躍進したのは、規制緩和による成長路線をとる自民党と、その対極にある東独旧共産党勢力を含む左派党だ。緑の党も二けたの支持を得ている。多極化する国際社会の中での既成政党の機能低下と多党化こそ有権者が突きつけた課題だろう。

 社会市場経済による福祉国家建設と二大政党制による安定的政権運営が「ドイツモデル」の特徴とされてきた。例外だったのが戦後二度にわたる大連立政権だ。

 一回目(一九六六〜六九年)は、戦後長期間にわたった同盟の政策が限界に達した後を受けて成立した。与党として初の実践経験を積んだ社民党は国民政党に成長し、七〇年代を通じて政権を担当、東方政策を進め、後の東西冷戦終結の基礎をつくった。

 冷戦終結後、明確な対立軸が薄まる中で発足した今回の大連立政権では、付加価値税の税率引き上げ、年金開始年齢の引き上げ決定などを実現させた。未曾有の金融危機への対応、投票直前に起きたアフガニスタンでの独連邦軍が絡む誤爆事件の対処にも大連立が抑制作用として働いた。

 大連立は民主制下の緊急避難的措置ではあれ、ドイツでは時代の要請でもあった。今後の新連立政策協議では減税、原発廃止、アフガン政策など内外政策全般の見直しが進められるが、各党の政策には濃淡の差も見られ、協議は厳しいものになろう。

 ドイツ統一は欧州統合と軌を一に進められてきた。欧州連合(EU)リスボン条約批准をめぐるアイルランドの国民投票も来月再実施を控えている。統合促進に通じる新しい政権モデルを示すことこそ、新連立政権の課題だ。

 

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