HTTP/1.0 200 OK Age: 224 Accept-Ranges: bytes Date: Tue, 29 Sep 2009 22:17:23 GMT Content-Length: 8417 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Tue, 29 Sep 2009 14:17:01 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより検索フォームへ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

社説2 首相続投に成長託すドイツ(9/30)

 ドイツ連邦議会(下院)選挙で、メルケル首相率いる保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が勝利した。首相の意向通り、市場経済重視の自由民主党(FDP)と11年ぶりに保守中道の連立政権を組む。4年間続いた社会民主党(SPD)との大連立は解消する。

 メルケル首相は4年間の実績を追い風に自陣営の議席を伸ばした。失業者を減らして経済不振を脱し、地球温暖化や欧州連合(EU)問題などの外交交渉で指導力を発揮した。1年前の金融危機で実体経済は再び急激に悪化したが、大規模な景気対策で復調の糸口をつかんだ。

 不人気な政策も断行してきた。財政再建や国際競争力の維持に付加価値税率を3%上げ、法人税の実効税率を9%近く下げた。年金支給開始年齢の67歳への引き上げも決めた。批判を覚悟で経済を強くし、成果を上げて続投を決めたメルケル氏の足跡は、痛みの改革に尻込みしがちな日本にとっても参考になる。

 左右二大勢力の大連立は政権後半に停滞色を強めたものの、メルケル氏は現実路線を維持しながら巧みに支持を確保した。規制緩和や経済活性化を重視するFDPは大連立を拒否する人々の受け皿となり、議席を5割増やして躍進した。

 有権者は市場経済に軸足を移した連立に、経済成長と雇用確保を託した。CDUとFDPはともに所得税減税を掲げるものの、規模や実施時期は明確でない。財政の制約もあるが税制改革や構造改革で内需を増やし、欧州経済を活性化してほしい。

 SPDは独自色を出せず、議席を3分の2に減らし野党に転落した。福祉重視が鮮明な左派党に支持層が流れた。通貨統合に参加している欧州諸国はユーロの安定・成長協定で財政赤字のタガをはめられ「大きな政府」路線をとりづらい。英労働党など他の社民勢力も苦戦している。

 ドイツは原子力発電所の稼働を2020年ごろまでに段階的に停止する「脱原発」を堅持してきた。メルケル氏らは次期政権で、原発の稼働期間の延長に意欲を示している。

 原発の活用で温暖化ガスの排出は抑えられる半面、安全性確保の問題で国内世論は割れている。路線修正がどこまで進むかにも注目したい。

社説・春秋記事一覧