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ドイツ総選挙 保守中道政権で原発存続へ(9月29日付・読売社説)

 ドイツ連邦議会選挙は2大政党時代が終わりつつあること、そして「原発回帰」が欧州の新たな潮流になり始めたことを予感させる。

 総選挙では、保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党の座を守り、大連立の相手だった左派の社会民主党(SPD)が歴史的大敗を喫した。この結果、同盟と第3党の中道政党、自由民主党(FDP)による連立政権樹立が確実となった。

 ドイツ統一を成し遂げたコール政権以来、11年ぶりの保守中道政権の誕生である。

 選挙戦では、雇用対策、減税による景気浮揚、旧東独地域再建などが争点になった。この中で、保守中道と左派の主張がはっきり分かれたのが、原発政策だった。

 新政権を担う同盟と自民党は、これまでの原発廃棄政策を見直すと表明してきた。

 ドイツは、社民党と緑の党が政権の座にあった2002年、稼働期間が32年に達した原発を順次廃棄する「脱原発」政策を始動させた。これを転換し、稼働期間を延長するというのだ。

 背景には、欧州連合(EU)が旗を振る地球温暖化対策を実行する上で、当面、原発に頼らざるを得ないという事情がある。風力など再生可能エネルギーによる肩代わりは、費用対効果の面などで難しいからだ。

 欧州では最近、スウェーデンが原発の新規建設方針を打ち出すなど、脱原発政策の転換が始まっている。環境先進国といわれたドイツが加われば、「原発の復権」は大きなうねりになろう。

 戦後のドイツは、同盟、社民党の2大政党のどちらかが、自民党など小政党との連立で政権を樹立してきた。だが、30年前に合わせて90%を超えていた2大政党の得票率は、年々低下してきており、今回の選挙では、わずか57%に減少した。

 社民党の大敗は、福祉重視型の社会を築いてきた欧州社民主義の行き詰まりを示した。「競争」が不可避な経済のグローバル化の中では、社会的弱者を守るにも、経済の持続的成長を確保する必要があるからだ。

 ブレア英首相、シュレーダー独首相はかつて、社民主義の自己改革を試みたが、起死回生にはつながらなかった。

 来年前半に予定される英総選挙では、労働党から保守党への政権交代が予想されている。仏、伊、独に続き、英も保守政権になれば、原発回帰にも拍車がかかろう。

2009年9月29日01時04分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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