HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 28 Sep 2009 01:17:26 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:金融サミット 不均衡是正が試される:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

金融サミット 不均衡是正が試される

2009年9月28日

 二十カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)が世界経済の不均衡是正に取り組む意思を表明した。これは長年、必要性が指摘されながら放置されてきた根本的な課題だ。実効性が問われる。

 「世界経済の不均衡」は各国の経常収支に象徴される。米国は六千七百億ドルに及ぶ経常赤字を抱える一方、日本や中国、ドイツは経常黒字を積み上げてきた。

 日中など黒字国は貿易で稼いだドルを米国に投資し運用する。赤字の米国も日中マネーを頼りにしてきた。赤字に見合う資金が入ってこなければ、長期金利は上昇し、ドルは急落する。住宅バブルも米国に流れた低金利の円資金が支えた面がある。

 今回の金融危機が起きるまで、世界は順調に成長してきたが、それは「不均衡」という、いつ破裂するか分からない地雷を内部に抱えた危うい成長でもあった。

 地雷はすでに破裂したのかもしれない。金融危機で米国の成長神話に陰りが見えているからだ。ユーロに目を向ける中国をはじめ、黒字国は従来のような対米投資を手控える可能性がある。そうなれば市場は金利急騰、ドル暴落で強制的に不均衡を是正する。

 米国が今回のサミットで不均衡是正を提唱したのは、市場に委ねた「強行着陸」を避けるために、各国を巻き込んで緩やかに是正する軟着陸を迫られたためだ。

 だが、うまく運ぶかどうかは分からない。まず、かつてのG7やG8と違って、プレーヤーが増えた。思惑も違う。中国は「南北の発展格差こそ不均衡」と問題の定義自体に異を唱えている。

 決め手になる政策手段も乏しい。緩やかなドル安誘導が可能なら望ましいが、それは円高と人民元高の裏返しでもある。中国が容認するかどうか。日本も製造業には痛手になる。そもそも、巨大な為替市場で通貨当局は為替相場を完全に制御できない。

 サミットは各国の財政政策や貯蓄率の相互監視に乗り出す。結局のところ、米国は貯蓄を増やし、日本や中国は国内投資を増やすといった、それぞれの国内政策が基本になる。政策協調の美しい響きに過剰な期待を寄せると、ひび割れが生じたとき市場から痛いしっぺ返しに遭うだろう。

 今回からG20は定例化する。国際通貨基金(IMF)の新興・途上国議決権比率も5%引き上げる。G8からG20体制への移行は米国主導が終わり、不透明な多極化時代の幕開けを告げている。

 

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