HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 26 Sep 2009 22:18:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:核なき世界 国際協調で歴史動かせ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

核なき世界 国際協調で歴史動かせ

2009年9月26日

 オバマ米大統領の「核兵器のない世界」の実現を目指すという構想が国連でも支持された。冷戦終結から既に二十年。日米協力と国際協調によって、遠大な「理想」を現実に近づけたい。

 国連安全保障理事会での「核なき世界」に向けた条件をつくる決議は初めてで、全会一致だった。オバマ大統領は「われわれは核兵器が地球上からなくなる日まで、立ち止まってはならない」と力説した。

 決議では核拡散防止条約(NPT)が不可欠だと確認され、枠外にいる国々に加盟を求めた。包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に向け、関係国に署名、批准を促した。また、国名は挙げなかったが、核開発を進める北朝鮮とイランに対する安保理の制裁決議を再確認した。

 核問題における国連の役割は重みを増している。新興国やテロリストへの核拡散を防ぐには、国際社会による監視が不可欠。北朝鮮が見せる対話への兆候も、制裁決議の効果といえる。

 「核なき世界」に向けて国際協調で歴史を動かしたい。まず核兵器を持つ五大国の軍縮が必要だ。

 米国とロシアは第一次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな核軍縮条約を目指すことで合意した。英国は核を搭載できる潜水艦を四隻から三隻に減らすと明言した。フランスは核弾頭数を冷戦時代より大幅に減らすと表明。中国と米国はCTBT批准の意思を示している。

 もちろん、核廃絶への道は平たんではない。核武装して対峙(たいじ)するインドとパキスタンがNPTに加盟するか。平和利用だと主張するイランが核放棄を決断するのか−。これらの国々を説得するためにも、米ロが積極的に核戦力を削減して範を示し、軍縮を目指す国際世論の包囲網を築くべきだ。

 鳩山由紀夫首相は安保理会合で非核三原則の堅持を誓った。「日本は核開発の潜在能力があるのに、非核の道を歩んだ」と述べ、国内の一部でくすぶる核武装論とは一線を画す意思を明確にした。

 オバマ大統領は四月のプラハ演説で「核兵器を使用した唯一の国」だとして、鳩山首相は安保理会合の演説で「唯一の被爆国」として、共に「果たすべき道義的責任がある」と述べた。

 日本の安全保障を米国の「核の傘」に頼ってきたことは否定できないが、日米が「道義的責任」で核廃絶の新しい時代に向けて協力していくべきだ。

 

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